128.白雪の精 ページ28
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「ははっ、今更旦那面か。…笑わせてくれるな」
「……」
「……じゃあ何故リアを傷つけた。
どうしてこの家を出て行った。
夫である権利を主張するなら、なぜリアを側で支えないんだ！？」
シリウスは激しく捲し立てた。
隅々まで怒りに染まった声。
その声は後悔も悲しみもやるせなさも含んでいるように思えた。
それは、シリウスの叫びにも聞こえた。
「お前はいつもそうだ。
リアが記憶を失う前はどうだった？」
「……」
「リアは俺に言った。
“もうリーマスのことさえも信じられない”ってな！！」
「……」
「いつもリアから逃げてるのはお前だろ！」
しん…っと部屋中が、屋敷中が静まり返った。
私から逃げている。
もう一回、頭の中で繰り返した。
リーマスは逃げているのだろうか。
シリウスには逃げているように見えるのだろうか。
この際、逃げているのかそうではないのかは些細な問題のように感じた。
でもシリウスは許せないのだろう。
それは親友として？元婚約者として？
「………」
リーマスはじっと黙ったままだった。
言いたいことをずっと飲み込んでいるような。
口にしてはいけない言葉を知っているかのように、じっとただただシリウスを見つめていた。
表面上ではわからないことを知っているような、そんな雰囲気だった。
「…何か言いたいことがあるなら言え」
シリウスはそう言った。
憤りと行き場のない後悔と悲痛さを含んだ声だ。
「……」
リーマスはなにも言わないままだった。
澄んだ瞳でシリウスを見つめる。
彼の言葉を、言い訳でもいいから聞きたいと思った。
でもリーマスはそうはしない。
そう思った次の瞬間、ゆっくりとリーマスは息を吸った。
「……何も」
たったそれだけ。
「何も、言うことはない」
それが、リーマスの答えだった。
彼女は美しかった。
初めて見た時、白雪の精かと思った。
「あなた、だれ？」
白く透き通った肌とほのかに桜色に頬。
大きな瞳に長い髪。
か弱そうな見た目とは反対に、大きな瞳には強い意志が見受けられた。
「……」
思わず黙り込んだ。
声を発せなかった、というのが正しいのかもしれない。
それほどに見入っていたのだ。
「ちょっと、あなたよ」
その呼びかけにはっとした。
そして、震えて出しづらい声を僅かに出す。
「シリウス・ブラック…」
これが彼女との出会いだった。
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もちお(プロフ) - 寝る前や空いた時間に少しずつ読みました！この作品がとても大好きです、更新楽しみにお待ちしてます！！！ (4月29日 16時) (
レス) @page32 id: 3dbffe5af8 (このIDを非表示/違反報告)
ことり。 - 引き込まれてどんどん読み進めてしまいました！更新楽しみにしています！ (4月4日 22時) (レス) id: 0c2f06c45e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ななさん» 更新が滞ってるのにも関わらず、温かいコメントありがとうございます^ ^ 少しずつ時間を見つけて更新していこうかと思います！これからもよろしくお願いいたします。 (9月8日 10時) (レス) id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
なな - 久しぶりに読み返しました、また号泣してしまいました（т-т）無理せず更新されることを願ってます。 (8月27日 1時) (レス) @page28 id: aed3455a0e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - イジーさん» ありがとうございます！お話更新したので是非^ ^ (2023年3月29日 22時) (レス) @page26 id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2021年9月7日 23時
