111.破滅の話 �� ページ11
・
「で、でも、危険じゃ…な、ないのかな…」
「危険？そんなの、今どこにいたって危険さ」
そうだ。それは事実だ。
シリウスにとって、そんなのどうでも良いことだった。
今、彼の頭の中はあの幼馴染のことでいっぱいだったのだ。
卒業後、家を出て、彼女もあの男と駆け落ち紛いの家出をするのなら…。
少しでも接点がほしかった。
少しでも助けになりたかった。
生憎、自分は闇祓いのような職業には向いていないから。
顔も合わせる機会が減り、大切なリアが自分の知らないところで苦しんでいたら？
シリウス・ブラックは、己と結ばれないことよりもそちらの方を気にかけていた。
彼女の性格上、何かがあっても簡単に助けを求めない。
もうどうしようもなくなって、死して尚どうにもならないと踏んだ時だけ、誰かを頼る。
大切な彼女が、これ以上苦しむことだけはどうしても避けたかった。
「………入る」
最早、シリウスにとってリアは世界の全てだった。
この手で守りたいのは己の身でも親友でもなく、元婚約者の彼女だけだった。
シリウスの小さな声を拾ったジェームズは、にっと笑った。
「さすが親友！パッドフット！生涯の友よ！！」
ジェームズが大袈裟に喜ぶ。
ぎゅぎゅ！っと抱きしめられるが、シリウスは抵抗らしい抵抗をしなかった。
そして、不死鳥の騎士団への加入を決めた。
不死鳥の騎士団創設メンバーには、
ダンブルドアを筆頭に、ホグワーツの副校長のミネルバ・マクゴナガル、“マッド・アイ”ことムーディも。
その中にはもちろん『魔法界の最後の砦』の魔女もいた。
いつ殺されてもおかしくない任務をいくつもした。
いくつもの死線をくぐり、その度に『次は死ぬ』と覚悟する日々だった。
一介の団員であるシリウスがそんな目に遭っているのだから、あのお嬢様はとんでもない目に遭ってるはずだ。
しかし絶対的な秘密守秘義務が張られる中で、リアが今どこにいるのかさえも知り得ない情報だった。
“死んだ”という情報はいつ入るかわからない。
いつその知らせが来てもおかしくはないのだ。
既にシリウスは何も信じられなくなっていた。
隣に座る団員が、次の瞬間には裏切るかもしれない。
そんな恐怖と疑念を皆が抱いていた。
苦楽を分かち合った親友さえも、シリウスは疑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 442人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちお(プロフ) - 寝る前や空いた時間に少しずつ読みました！この作品がとても大好きです、更新楽しみにお待ちしてます！！！ (4月29日 16時) (
レス) @page32 id: 3dbffe5af8 (このIDを非表示/違反報告)
ことり。 - 引き込まれてどんどん読み進めてしまいました！更新楽しみにしています！ (4月4日 22時) (レス) id: 0c2f06c45e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ななさん» 更新が滞ってるのにも関わらず、温かいコメントありがとうございます^ ^ 少しずつ時間を見つけて更新していこうかと思います！これからもよろしくお願いいたします。 (9月8日 10時) (レス) id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
なな - 久しぶりに読み返しました、また号泣してしまいました（т-т）無理せず更新されることを願ってます。 (8月27日 1時) (レス) @page28 id: aed3455a0e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - イジーさん» ありがとうございます！お話更新したので是非^ ^ (2023年3月29日 22時) (レス) @page26 id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2021年9月7日 23時
