黒く美しい少女は“黒曜編”

#2 ページ9

その頃Aの部屋では・・・。

『・・・クシュンッ‼・・・寒いな、少し冷えたか？』

今日は朝から肌寒い天気の為、Aは腕を擦った。

いけない‼皆んな、「あるじさま」に温かい羽織物を探しに行こう‼

虎2「ミャウ〜」

虎4「ミャ〜ン」

虎1「ミャウミャウ‼」

僕はあっちで探しに行くから‼

***
う〜ん・・・どこかにあるかな・・・羽織物・・・羽織物・・・

ヒラッ

お？・・・これにしよう‼

***
五虎退「あるじさま、只今戻りました」

Aは顔を青ざめた表情で部屋から出て来た。

『五虎退‼大変だ・・・虎達が居なくなった』

五虎退「えっ‼虎君達が居ないんですか‼」

中を覗くと虎達の姿が見当たらなかった。

『私がさっき書類を全部見終わった後には既に居なかったんだ』

五虎退「いっ、良い子にしてって言ったのにぃ・・・」

『済まない・・・私が目を離していたばっかりに・・・』

五虎退「あ、あるじさまの所為では有りません‼あの・・・いっ、一緒に探してくれませんか・・・？」

『あぁ、勿論だ、一緒に探そう』

***
『おーい、虎達ー、どこに居るんだー？』

五虎退「で、出て来て下さーい・・・」

石切丸「おや？主、どうしたんだい？」

畑仕事を終えた石切丸に、岩融に肩車された今剣に会った。

今剣「なにしているんですかー？」

岩融「どうなされた主よ」

『石切丸達か・・・丁度良かった。
お前達、五虎退の虎を見なかったか？』

石切丸「虎達かい？いいや、見なかったね」

今剣「ぼくらもみていません」

両者共、首を横に振った。
虎を見ていないようだ。

『そうか・・・もし、見つけたら知らせてくれないか？虎達が居なくなってしまってな・・・』

石切丸「そうか、なら僕らも手伝うよ」

『五虎退、もう少し奥へ探しに行こう』

五虎退「はい・・・」

***
乱「じゃーん‼どう？可愛いでしょ？」

乱は完成した綺麗な花かんむりを薬研達に見せていた。

薬研「おー、中々の上出来じゃねぇか」

乱「でしょ？あるじさんにあげるんだ〜♪」

厚「へぇ〜、きっと大将喜ぶな‼」

グイッ‼

薬研「うお⁉なんだ‼」

座っていた薬研は後ろからいきなり何かに引っ張られて驚いた。
その勢いは止まらずズルズルと薬研を引きずっていった。

乱「や、薬研⁉」

厚「おいおい、一体どこへ行くんだよ⁈」

乱と厚は引きずられて行く薬研を追った。

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