黒く美しい少女は“黒曜編”

標的58 黒の処刑人VS六道骸 ページ37

キンッ‼

キンッ‼

金属がぶつかり合う音が部屋に響いた。

『お前、強いな』

私は思いっきり力を押すが矢張り男女の力の差で、ギチギチと手が震えていた。

骸「クフフ、貴方に褒めて下さるなんて嬉しいですね」

『フンッ‼』

私は距離を離した。

骸「そろそろやらなければ彼等が来てしまうので、少々手荒ですが」

ブンッ

骸の目は“六”から“一”に変わった。

***
『‼‼』

さっきまで壊れた廃墟だった筈が、綺麗な真っ白な部屋になった。

『・・・何故、此処は、私が昔いた・・・でもそんな筈は・・・‼!』

振り向くと小さな女の子がいた。
狼のぬいぐるみを持って白い服を着て、つけられた首輪には5910と書かれていた。
そして顔を覆い白い服を着た男に聞いていた。
女の子は男に手を引かれて扉の中へ入ろうとした。

待て‼行くな‼その扉の中は‼

扉が開くと、白かった部屋は真っ赤に染まり、その奥にあったものは・・・

***
『‼・・・頭が・・・痛い・・・‼』

まるでトゲトゲとした鞭で頭を縛り込むような痛みを抱えて、気絶して倒れた。
骸は落ちていた短刀を蹴り飛ばし、Aの元へ歩いて行った。

骸「クフフ、貴方の体にあまり傷を作りたく無かったので、貴方が一番思い出したくない記憶を幻覚として見せました。
酷く精神にダメージが来ていますね。
一体何を見ているかは僕にはわかりませんが」

骸はゆっくりとAが被っている面を外し、露わになった顔の輪郭を指でなぞった。

骸「やっと、貴方を見つける事が出来た・・・」

骸はAを横抱きし、部屋を後にした。

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