5 ページ5
「これ美味しいんですよね、ほらこれ。このフルーツタルト。カスタードプリンが下に入ってて、ベリーのソースとかたくさんかけられてるんです」
学校のすぐそばの学生街。その片隅のケーキ屋にロレッタとガリオンは来ていた。ガリオンはロレッタにカウンターへ座るように勧める。どうやらこの店はケーキ屋というよりも、持ち帰りのできる喫茶店のような場所のようだった。
ガリオンはその店によく顔を出していたのだろう、店員の女性がにこやかに声をかけてきた。
「いらっしゃいガリオンちゃん、お友達?」
「はい、おば様。あ、梨のコンポートください。それと紅茶も。ロレッタさんはどうします?」
「私も紅茶と……じゃあ、このフルーツタルトと、チョコチップのクッキーをお願いします」
メニュー表に記載されている、ガリオンの勧めたフルーツタルトとチョコチップクッキーを指差して注文する。数分後、梨のコンポート、二人分の紅茶と、皿に盛られたチョコチップクッキーがやってきた。
フルーツタルトはちょうど作り置きがなく、作っている最中だったらしい。もうしばらくしたらできあがるから、と店員の女性が申し訳なさそうにしているのに、気にしないでくださいと言って、ロレッタはクッキーを食べる。
「あ、美味しい」
「でしょう?今は仕入れてないけど、九月の終わりとか十月の辺りに出る葡萄のお菓子も美味しいんですよ。私の家から出してる葡萄で。もし十月にまた来たら買ってみてください」
「葡萄かぁ。家からって、ガリオンちゃんの家って農家とか?」
「んー、まあ。あ、来ましたよ、タルト」
運ばれてきたフルーツタルトはかなり美味しそうに見える。数種類のベリーとミントの葉が一枚、ホイップクリームがかけられている。
フォークで一口分食べてみた。ベリーの酸味と、タルトの中身であるカスタードプリンの甘味が大変に美味であった。フルーツとミントの爽やかさの後に、バニラビーンズの甘やかな香りが、口いっぱいに広がる。
「すごく美味しいね。見た目も華やかだし、香りも良いし」
「本当にそうですよね!私もこれ大好きなんです」
ガリオンは目をきらきらさせていた。彼女も甘いものが好きなのだろうか?気が合うかもしれないな、とロレッタは思った。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ