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それから一ヶ月経った。ハロウィンパーティーを終えて、定期考査を前にしたロレッタは、図書館で教本を広げていた。
「ロレッタさん……ロレッタさん？」
「……あ。ガリオンちゃんか。どうしたの？」
声をかけられて顔をあげると、ガリオンがいた。しかし、どこか様子がおかしい気がした。
定期考査を前にして緊張しているのだろうかとロレッタは思ったが、それにしても妙な感じだ。声がやけに震えていて、何かに怯えているような、緊張しているような。顔もどこか、普段より青白い。
それに、髪の色もおかしい。根元の辺りが灰色……どころか、白髪になっていた。何か魔法薬学の授業でおかしな薬でもかぶってしまったのだろうか？
ガリオンは軽くかがみ込み、ロレッタに目線を合わせる。前に会った時よりもかなり長く延びた前髪で、目元が見えない。
「あの、すみません。ちょっと見てほしいんです」
「見て、って……どこを？」
「頭に何か……この辺りに、傷とか、あるいは何か変なもの、ありません？」
ロレッタがそう問うと、ガリオンは自分の頭……後頭部を指差して、そして髪を掻き分けた。
傷？ロレッタは彼女の頭皮を覗き込んでみる。目を凝らして見つめてみたが、何もおかしいところはない。傷や、その痕跡も見当たらない。
「何もないけど……というか、どうしたの？すごく具合悪そうだけど、大丈夫？」
「何も、ないんですか。そう……」
ガリオンはぽつりとそう言った。それはロレッタへの返答ではなく、ただ無意識に独り言を呟いたような具合である。
「ねえ、ガリオンちゃん？」
「……」
ガリオンは何も言わなかった。ロレッタはガリオンの肩を掴もうとしたが、ガリオンはロレッタの手を払い除ける。それから頭をふるふると横に振って、ふらつきながら図書館を出ていった。
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