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「はぁあ……」
ロレッタはため息をついた。その理由は単純に、本来ならば満点を狙えるはずだった小テストでケアミスレスをしてしまったからだった。非常に高い点数ではあったが、それでもちょっとした見落としで点を逃したという事が残念だったのである。
静かな図書館の片隅に教本を広げながら、見直しまでちゃんとやったのに、とロレッタは呟いた。
「ロレッタさん、隣大丈夫ですか?」
「ああ、だいじょ……え?」
ガリオンの声がしたからそう答えながら振り向くロレッタ。ロレッタは目を丸くした。ガリオンの背中まであった長い黒髪が、肩につくかつかないかくらいの長さになっていたのだ。
「ガリオンちゃん、髪の毛切ったの?」
「切ったというか、燃えちゃったんですよ。授業でちょっと、ペアの子が間違えちゃったらしくて」
ガリオンはおかしそうに笑って肩を竦めた。
ああ、とロレッタは納得する。燃えた、と聞いて一瞬呪いの件が頭をよぎったが、授業でうっかり、というのは割とよくある事なのだ。ロレッタは自分が三年生の時に授業中に起こった様々な騒動や、その顛末を思い出していた。魔法薬学の授業で調合を間違えて髪色が虹色になった同級生やら、防衛術の授業で大喧嘩をした同級生やら、その手の話は枚挙に暇がないのである。
「すごく燃えちゃったから、髪の毛の延びが早くなる魔法をかけてるんですよね。ほんっと、びっくりですよ。ウォーティウムしてなかったら、今頃私丸焼きになってたかもしれませんね」
「あるよね、本当に。気を付けるんだよ」
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