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ロレッタは食堂の前に立っていた。ガリオンへの警告をしなければならなかった。
本当はもっと早くに伝えたかったのだが、ウィズドレッジ寮はロレッタの所属するリングラヴィン寮と離れているため朝に伝える事ができず、また午前中は授業もあってガリオンを探せなかったのである。だから、授業のない昼食の時間、食堂で待っていればガリオンに会えると思っていたのだ。
しかし、ガリオンはいつまで経っても現れない。ロレッタが不安を募らせていった、その時だった。
「聞いた?飛行術で事故があったって……」
「ああ、あれ?四年生だっけ。可哀想だよね」
近くの席から聞こえた会話。ロレッタはそちらを向く。二人の女子生徒が噂話をしているらしかった。
「ねえ、君達。事故って何かあったのかい?」
「え、ロレッタさん、知らないんですか?今日、飛行術で四年生の女の子が落ちて怪我をしたって噂ですよ」
「四年生の女の子……所属する寮は?」
「確か、ウィズドレッジだったと思います」
ウィズドレッジ寮……ガリオンの所属する寮だ。ロレッタは嫌な汗が背筋を伝うのを覚える。呪いのせいなのだろうか。
そもそもロレッタはあれが本当に呪いなのか分からなかった。確信が持てなかったのだ。親が子を呪うなんて事が、本当にあるとは思えなかったのだ。だが、ガリオンは……。
「その女の子はどうしてるの?」
「保健室にいるらしいです。顔面が潰れて、治療をしているって……」
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