終。17 ページ17
( 初めて、彼と手を繋いだ。)
これは、中学の時以来だ。
あの時は、手を繋いでもなんとも思わなかった。
嬉しい、とかよりも、羞恥心の方が勝って。
「……っ」
なんでだろう。
目頭が熱くなって、泣きそうだ。
ダメだ。
ダメなのに。
「……」
私はなんで中々切り出せないの。
やっぱりエゴなのかな。
また繰り返しちゃうのかな。
浪川くんのこと、好きなのかな。
そんな気持ちさえも分からない。
恋なんて、やめようって思ってたのに。
私は、自分の家に着くまで、
彼に握られたこの手を、握り返すことは出来なかった。
「じゃあ、また明日」
「……うん」
ここから帰るのにどれだけの時間を費やすのだろうか。
浪川くんの家がどこなのか分からないから……。
聞き出すにも聞き出せない。
離れていく背中に声をかける。
浪川くんはすぐに振り返った。
「あの……」
「……?あ、いや、ほんと気にするな」
私の言いたいことが彼にも伝わったのか、手をあげて私を制止した。
そもそも、ここから帰れるのかな。
「あ、ありがとう」
今の私にはこれが精一杯で。
だけど彼はこんな一言だけでも、嬉しそうに笑った。
「また明日な!」
大きく手を振って。
.
.
79人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トラック3号(プロフ) - 佐倉 照:Reさん» まじですか!宜しくお願いします! (2015年9月25日 23時) (レス) id: 886ceede30 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照:Re(プロフ) - トラック3号さん» ありがとうございます^^こっちは終わってしまいましたが、イナズマは書き続けるのでこれからもよろしくです! (2015年9月25日 11時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
トラック3号(プロフ) - おわっちゃったんですか…おーいおい泣 思春期男子いつも楽しみに見ていました!キャーキャー叫んでました((とても面白かったです!完結おめでとうございます! (2015年9月24日 3時) (レス) id: 886ceede30 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照:Re(プロフ) - 星ヶ咲 眞弥さん» そうなんですか!そうでしたか、ありがとうございます^^ (2015年9月6日 0時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照:Re(プロフ) - 亜依斗(*・ω・)ノ☆AITOだお☆さん» ありがとうございます^^嬉しいです! (2015年9月6日 0時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ