七話 ページ7
セ「試験だった!?」
志「せやで〜。あいたたた…」
そう言って背中を擦る志麻さんに、唖然とした表情で視線を送るセンラさん。
私と坂田さんに支えられているお陰で、表情も相まい面白い絵面に仕上がっている。
セ「結局入学式は嘘やったんか…」
志「いや夜中にやるから嘘やないで。だからそんな虚無な目をしないで貰える?」
坂「トイレってどこなん?」
志「こっちは受け入れるのが早すぎる。何なんやこの子ら」
結果として、場所が分からないのでトイレは諦めた坂田さん。
合格の印として渡された赤いバッチを鼻歌混じりに弄んでいる。
志「取り敢えずセンラ?は保健室に連れていくとして、残りは俺と怪我人運びな」
坂「え、トイ((」
志「よいしょ…!!」
坂田さんが言い終わる前に、志麻さんはセンラさんを抱えて走り去ってしまった。
抱えられた瞬間、救いを求める目で見つめられていたのには気づかなかった事にしよう。うん。
・
坂「こうなったら速攻で終わらせてやる…!!」
『骨折の人もいるかもしれないので魔法で一気に運ぶのは無しですからね』
坂「…!?」
そう言うと、坂田さんはハッとした様な顔で手を下ろした。
良かった、本当にやろうとしてたのね。
壁にめり込んだ人達は血は出てないものの、内出血が酷くて青痰が出来てしまっている。
でも二週間で治りそうなので、この人達は一気に運んでも問題なさそうだ。
『坂田さん、この人達なら一気に運んでも大丈夫ですよ。そしてトイレは保健室のすぐ横です』
坂「何で知ってるんかは分からへんけど、ありがとう!行ってくる!!」
風を切る様に走っていった彼に、魔法で浮いた怪我人達はふよふよとついて行く。
うろ覚えだから間違っているかもしれないけどね。
彼らを見送ると同時に、足元に一匹の狸がいる事に気がついた。
瞳をくりんとさせた狸は何処か見覚えがある。
確かいつも茶髪の人の肩に乗ってた…
『かだがぬいだっけ?』
や「きゅきゅー!!」
誰だそれは、とでも言うかの様に威嚇をする狸。
駄目だ可愛すぎてニヤけちゃう。
上がる口角を必死に抑え、どこから来たのか問いかけてみる。
すると何を思ったのか、突然会場の中に入っていってしまった。
慌てて追いかけると、そこには制服が破れてボロボロになっている人や魔力切れで白髪になっている人達が倒れているという劇的な惨状が広がっている。
あまりの光景に絶句する中、きゅ、という可愛らしい鳴き声が聞こえた。
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作成日時:2022年1月17日 5時