嘲笑え。 (ページ8)

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騒がしい同級生に呆れながらチラッと横を見る。

あれから丸一日がたつ。

天女は、留三郎に腹部を刺されてから目を覚ましていない。

まるで死んだかのように眠る少女は、とても美しかった。

否、美しいなんてもんじゃない。
艶やかで儚い様な、何とも言えない悪魔の如き美しさ。
もう、一言で言えない位だった。

ただ、彼女が土井先生や留三郎に向けた闇を切り取った様な真っ黒な瞳は、ガラスの様に透き通っていて、とても＿＿＿＿恐ろしかった。

「…小平太、仙蔵。何してんだ？」

文次郎が顔を上げて問う。

「いや、今回の天女、凄く綺麗だなって。」

「上と同じく。」

「仙蔵メタい。」

思わずツッコミを入れるのも仕方がないよね。うん。

「そう言えば長次、この死神伝説がどうかしたのかい？」

「…私の予想では、今回の天女はその死神だと思っている。」

「そんなわけな＿＿」

文次郎を遮るように、外からドタドタと騒がしい足音が聞こえた。

控えめに襖を開けたのは、乱太郎、きり丸、しんベヱだった。

「「「伊作先輩、学園長がお呼びでぇす！」」」

「学園長が？あぁ、分かった。ご苦労さん。」

僕が立ち上がろうとすると、きり丸が留三郎がいることに気づいた。
因みに文次郎達は逃げた。

「あれ？食満先輩、怪我でもしたんですか？それに、誰か寝ている？」

「あ、あぁぁいや、その…」

ま、まずい…。

今此処に天女がいると言ってしまえば…………嗚呼！

僕は一体どうすれば…！！

…そうだ！

「えっと…留三郎ったら、あまりにも眠くてそのまま寝ちゃったみたいだ。

そっとしてあげてね。」

「そうなんですか～｡あ、私達これから遊ぶので失礼します！」

足音が遠ざかり、はーっ、と息を吐く。

学園長に呼ばれた事を思い出し、ゆっくりと腰をあげる。

医務室を出る前にちらっと留三郎の方をみた。
このまま2人を残しておいていいのか一瞬迷うが、留三郎なら大丈夫だろう、と1人で納得して此処をあとにした。