嘲笑え。 (ページ32)

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「お、鬼ごっこぉぉ？！」

『るっせーな。』

両手で耳を塞ぐジェスチャーをする琥珀。

「いやいや鬼ごっこって…。」

俺は訝しげに視線を向ける。

そんな様子を面白そうに笑いながら琥珀は金平糖を食べた。

『普通の鬼ごじゃないよ。制限時間内にあ＿＿＿』

琥珀の無邪気な笑顔に誰もが和やかに化した空気の中で、

事態は一変する。

『留三郎っ！！』

気づけば身体中に強い衝撃を受け、目には灰色に染まった雲が写った。

悲鳴が校庭を響き渡る。

「っ、おい天女？！」

「血が…？！」

仙蔵の声で状況を飲み込めた。

琥珀が俺を庇って撃たれた。

俺の上に乗っていた琥珀はガバッと起き上がり、血だらけの手を俺に差し出した。

『大丈夫、留三郎？』

優しい声音に顔を上げた。

「琥珀＿＿」

立ち上がりながら呟く。

腕を撃たれた様だが、いつの間にか傷は塞がって血痕だけが残っていた。

『留三郎。皆をあの穴の中に避難させたら6年連れて戻ってこい。』

琥珀は震える声で囁いた。大きな瞳は闇色に渦巻いている。

琥珀が指差した方には宙に大きな黒い穴が空いていた。

何となく従わないといけない気がした。

「琥珀、後で説明して貰うからな！」

『おう！』

混乱した頭を振り、皆の元へ駆け寄る。

すれ違いざまに見えた琥珀の目は黄金に輝いていた。