32話 早朝に来た人数は ページ38
7日経ったあとの早朝に揃った剣士は、私含め五人だった。
...手鬼に襲われていた人、助けられなかった。
「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」
一瞬、おかっぱの子と目が合った気がした。
「で?俺はこれからどうすりゃいい。刀は?」
「まずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測り、その後は階級を刻ませていただきます」
「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在皆様は一番下の癸でございます」
...ちょっ、覚えられない。覚えられる気がしない。
「刀は?」
「本日中に玉鋼を選んでいただき、刀が出来上がるまで十日から十五日となります」
白いおかっぱの子が、パンパンと手を叩いた。
「さらに今からは鴉をつけさせていただきます」
空から三匹の鴉が降りてくる。
何故か、私の肩には雀が乗った。
...あれ?炭治郎鴉なんだけど。雀って事は、鎹雀?
混乱する私に、雀が
「チュンチュン!!」
と愛らしく鳴いた。
その愛らしさに、私は一瞬で心を持っていかれた。
ほわああああ、とチュンちゃん(鎹雀の名前の可愛さに打ち震えていると、バシッという鋭い音が響いた。
「ギャアッ」
うめき声を上げた鎹鴉には目もくれず、モヒカンもどきさんが口を開く。
「どうでもいいんだよ、鴉なんて!!刀だよ刀!!今すぐ刀を寄越せ!!鬼殺隊の刀!!色変わりの刀!!」
白いおかっぱの子を殴って、その綺麗な髪を掴みながら叫んだ。
その掴んでいる手を、思い切り蹴っ飛ばした。
「ぐっ...」
痛みに顔をしかめたその男に、私は言った。
「あなた今女の子殴ったでしょ、何してんの!?偉そうにして、鬼殺隊に入れてもらわなきゃ何も出来ないのに、威張り腐ってんじゃないわよ!!」
おかっぱの子二人を背に庇いながら続ける。
「ちゃんとこの子に謝って」
「はあ?」
「謝りなさい」
しばらく睨み合った後、
「...悪かった」
男が根負けした。
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アリス - ミライノミチさん» ありがとうございます。とても励みになります。そのうち恋愛を増やしていくので、待って頂けたら泣いてバック転して喜びます。 (2020年11月23日 17時) (レス) id: e28dd41caa (このIDを非表示/違反報告)
ミライノミチ - 面白いです。いつも更新楽しみにしております。これからも頑張ってください。 (2020年11月23日 14時) (レス) id: 6244c3b093 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/EHL/
作成日時:2020年10月17日 15時