検索窓
今日:7 hit、昨日:19 hit、合計:161,709 hit

お・ま・け 【2】 ページ42







「ねぇ、紫耀」



「なに?」



「まだ聞いてもいい?」




「ふぇ?」




てっきりご飯の準備とかの手伝いを頼まれるんかと思ってたから、不意に変な声が出た。




「っあ、あぁ、いいよ」




俺の返事をちょっとだけ笑いながら、クロサキさんがね、とまた“ あの人 ”の名前を出したAちゃん。





「クロサギをしてる理由って何なのかな、って」





さっき俺が取ったお皿に野菜を盛り付けながらそう聞くAちゃんの横顔は、変な好奇心が滲んでるわけでもなくて、すごい穏やかやねんけど…





なんとなく、“ あの人 ”の裏とゆうか…人には知られたくない部分を見抜いてるみたいで。





「…昔、両親が詐欺師に騙されて、亡くなったって…それで詐欺師を全部喰い吐くそうとしてるらしい」





俺も結局噂程度にしか知らないその理由を、簡単に伝えた。



そしたらやっぱり、



「そっか…」




“ あの人 ”の過去の傷に共鳴するように、その瞳を小さく揺らした。





「はいっ、他に質問はありますか?」




相変わらずだな、なんて思いながらもなんとなく静かになった空気を変えたくて、意識的に声のトーンをあげて聞いてみる。




すると、




「ん〜…あっ、最後に1つだけいいですか?」




俺のトーンにつられるように、ちょっとだけ声を弾ませて片手を上げたAちゃんが可愛くて。




「どうぞ」




思わず顔が緩んだけど、笑顔で誤魔化して聞き返した。




「クロサキさんが言った、降ってくる、の意味って結局なんだったの…?」






最後の質問は、俺もずっと気になってたことで。






そういえば情報屋になってしばらくしてからやっと“ あの人 ”に直接確かめたんやっけ。




「なんか…最初は“ 雨が降ってくる ”って意味もあったらしいねんけど、」



「え、それだけ…?」




「いや、実際は“ 災難が降りかかるぞ ”ってのを伝えたかったみたい」




「災難…」




「うん。自分のことにもっと鋭くならんと避けれるもんも避けられへんぞ、って」




「なるほど…」





言葉とは裏腹に、まだあんまり納得できてないような気がして。





「自分のことそんなに鈍感やとは思ってないけど、気持ちの整理とか処理の仕方とかをね、もっと上手くならないかんなってのは思うわけですよ」




補足にもなってない補足をしてみたら、




「…頑張りすぎは、ダメだからね」







ふわり、優しい声と笑顔が返ってきた。

お・ま・け 【3】→←お・ま・け 【1】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (140 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

未来奈(プロフ) - なんだかとてつもなく頭を使った気がします。コメントも纏まらずめちゃくちゃでごめんなさい。すごく大好きな物語です。ありがとうございました。 (2017年10月23日 0時) (レス) id: d1bb082a8c (このIDを非表示/違反報告)
未来奈(プロフ) - 過去があって今があって、それで未来が創られていくという事。自分という存在は自分だけで存在している訳ではないという事。自分を重ねたり、別の誰かを重ねたり、古い記憶を重ねたり。。涙を流したり。 (2017年10月23日 0時) (レス) id: d1bb082a8c (このIDを非表示/違反報告)
未来奈(プロフ) - なんて表現すればいいのかわかりませんが。。。一番最初の話からここまで、全て通しで読んだんです。そしたら、すごくいろんな感情が渦巻いたというか、動いた、揺さぶられたというか。自分の在り方について考えさられました。 (2017年10月23日 0時) (レス) id: d1bb082a8c (このIDを非表示/違反報告)
高一女子ジャニヲタ - そんな大きな、大事な事にいつもいつも気付かせてくれるみぃさん、みぃさんの書くお話に本当に本当に感謝です。みぃさんもお仕事やプライベート、お忙しいかと思いますが,このお話は私の大切な道標,心の拠り所です。みぃさんが楽しんで書いて頂きたいと思います(^^) (2017年7月26日 16時) (レス) id: b4e78d5976 (このIDを非表示/違反報告)
高一女子ジャニヲタ - 自分が納得出来る答え、言い訳は見つかりませんでした。けどやっぱり道標になる言葉は今作の言葉でした。やっぱり好きなんやって。好きやから続けられるんやって。人が何て言っても良いんかなって。むしろそれが自分が頑張る一番大きい、誇れる理由になるんかなって。 (2017年7月26日 16時) (レス) id: b4e78d5976 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みぃ | 作成日時:2017年5月30日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。