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73羽目 ページ27

小屋の空気が、刺々しい。

何も言えない私の肌を刺していく


トシを睨みつける総悟の顔は相変わらずだけど、目の奥にはいつもと違う感情があるのが分かった



土方「……好きにしろ


それがお前達の思う真選組なら、オレは止めやしねェ」

「副長!!」

土方「どっちが正しいのかなんて、俺にももう解らねェよ」



トシの心の、悲痛な叫びが、ひしひしと伝わってくる



土方「……近藤さんを死なせたくねェ。その気持ちはお前たちと同じだ




………………お前たちを、死なせたくねェ。その気持ちは近藤さんと同じだ」




トシが歩みを進めると、小屋の床が軋み、ギシッと音を立てる


土方「俺にはもうお前たちを縛る資格はねェ。
鬼の副長も、局中法度ももうねェ。


それでもなお、お前たちの(こころ)を縛るものがあるなら……




そいつがきっと真選組にとって一番大切なことなんだろう」




小屋を出て、ゆっくりと歩いていく

だが、言葉は止めない。

それが、私たちの心を刺していく



土方「そいつを信じて戦え。
たとえそれが、どんな道であろうと






お前たちは真選組だ」




───────────────


とある公園のベンチ。

そこに、隊服を着たままのかつての1番隊隊長



真選組屯所の前。

「立ち入り禁止」とテープが貼られた門の前。

そこにかつての副長




沖田「きったねェ。鬼にあんな顔されたら

何も、出来やしねェ」



砂ぼこりで埋まった地面の上に、1つ落ちた水滴


土方「…………雨か」



まさに、雲一つないような晴天の空を見上げ、


沖田「やれやれ。宿無しは辛ェや」








73羽目【鬼が哭いた日】

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作者名:珠優 | 作成日時:2018年3月15日 19時

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