契約破棄 ページ28
貴女side
ゴキュリと緊張で唾を飲み込む音。産まれたばかりの小鹿のように脚を震わす少女達。
私はそれを一瞥し、契約書をペラリと捲った。
高級感溢れる上質な紙に書かれた"キャンディー"の文字と"三宮葵衣"。"エクレア"と"網谷優鶴"
｢貴女達の契約書は、これです。｣
契約書を見せると、二人は唖然と口を開けた。有り得ない。そんな言葉を二人は思っているだろう。
だって、契約書には二人が書く時の癖がそっくりそのままあったから。
……商品との契約は自動で行われるから、私も全ての商品の契約内容まで理解していないけど、この契約だけは鮮明に覚えてる。
｢なに、これ……何で、私の名前が…、｣
葵衣さんの目の焦点がぶれ、私から契約書を奪い見る。くしゃ…と紙が僅かに潰される音。
……混乱しているのね。
と、優鶴さんの方に目を向けると、彼女はポロポロと大きな瞳から涙を溢していた。
(……キャンディーの効果がそろそろ薄れてきた。早めに済まさないと…)
コロンと舌で転がし舐めていたキャンディーが随分と小さくなった為、僅かに時間が動く。
私自身はキャンディーを舐めても契約として成立しない。
店主として商品を売る。その契約だけ。
内心、久しぶりの契約違反に、心臓が跳ねる。
｢貴女方の行為は"契約違反"と見なされ、契約は"破棄"とさせていただきます。｣
言葉を失う彼女ら。追い討ちをかけるかのように、私の周りを黒い靄が取り囲む。
絶望に染まる顔。
それを見た瞬間、思わず口元を緩ませてしまった。
｢理由はそこに記してある通り。……貴女方、当初の目的とは違うことをなさっていますよね？｣
｢当初の目的なんてなによ！｣
｢葵衣さんは時を戻すこと、優鶴さんは未来を知ること……の効果を持つお菓子を私は売りました。それは、失敗を戻すこと、好きな人を獲られたくないが為。もう、達成された筈でしょう？｣
痛いところを突かれ、黙る二人。
全く、困ったお客様を招いてしまった。
｢目的を見失い、能力を自分勝手に使ってたんですから、文句はありませんよね……私は、今まで黙ってあげてたんですから。｣
経過を見守ってたっていうのに、お互いを傷付ける道具にしか使わないなんて。
キャンディーマンが言ってたことも頷ける。
｢──処分、始めましょうか。｣
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ネリエル@リリス(プロフ) - その友達さん» その友、ありがとう(*^^*)他の作品の更新も頑張って、完結させるよ！ (2015年8月18日 12時) (
レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
その友達 - ネリエル@リリスさん» 遅れたけど完結おめでとう！！最後のほうとってもこわかったよ...。そして、おもしろっかた！！他の作品の更新、がんばってね！ (2015年8月17日 20時) (レス) id: 9d4239f958 (このIDを非表示/違反報告)
ネリエル@リリス(プロフ) - 紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん» ありがとうございます、もうそんな風に言っていただけて嬉しくて泣きそうです(涙)私の方こそ、紅侍さんのような素敵な読者様に読んでいただいて本当に良かったです！ (2015年8月15日 21時) (レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
紅侍@先輩がイケメンすぎて辛い(プロフ) - ネリエル@リリスさん» 別に、作者さんの好きなところで終わればいいと思いますよ?本当に、最後までとても面白かったし。この作品の読書になれて、嬉しいです！ (2015年8月15日 17時) (レス) id: d64dcfdbce (このIDを非表示/違反報告)
ネリエル@リリス(プロフ) - 紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん» コメントありがとうございます。紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん、あまりお話が続かなくてすみませんでした(._.)ネタがきれてしまいまして……でも、無事に完結できて良かったです。摩訶不思議なお店屋さんを読んで頂き本当に感謝しています！ (2015年8月15日 16時) (レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリエル＠リリス x他1人 | 作成日時：2015年6月3日 17時
