契約本題 ページ27
三宮葵衣side
やけに慣れた手付きで、ペンを走らす花さん。夕焼けが彼女の髪を照らす。
ドラマのワンシーン。
青春ドラマのような一場面を私は横に倒れながら見ていた。
(……花さんが来てから、意識がはっきりしてる。)
体の感覚こそ鈍いが、先程まで消えかけていた意識はスッキリと冴える。
余計な恐怖まで甦ってしまったけど。
廊下の時計に目を向けると、時間は…否、長針も短針も全く微動せずに静止していた。
コロコロと微かに彼女から聴こえる音に、キャンディーを舐めていることが分かった。大方、時間を止める効果のキャンディー。
｢優鶴さんは未来の出来事を予測し、葵衣さんはその出来事を起こさない為に時間を戻す… ｣
綺麗な透き通った声が廊下に響く。彼女の声に嫌な予感が私を掠める。
パタン、とファイルか何かを閉じる音。
コツコツと近寄ってきた足音に、反射的に目を瞑る。
｢葵衣さん、もう起き上がれますよね？｣
｢……え？｣
想像していた言葉とは違い、驚きの声を漏らす。目を開くと、そこには何喰わぬ顔で立っている花さん。
彼女はふわりと笑うと、横倒しの私に、手を差し出した。
え、まだ起きれないんですけど…何を考えているんですか？
理解不能な私の手をギュッと強制的に掴み、起こす花さん。
よろ、と前に勢い余って倒れそうになり四つん這いになる。
｢葵衣さん、まだ効いてないかもしれないですが、頑張って下さい。｣
いや、だから何が？
更に重なる疑問に私は漸くそこで分かった。
あ、体が、動く。
指の僅かな関節しか動かなかった体が嘘のように、動く。(恐らく)切れていた頭に手を当てると、血は付くものの、切れた痕(傷)はなかった。
血の水溜まりが残っていたが。
ふらつく両足に鞭を入れ、二足歩行になる私。優鶴ちゃんが申し訳なさそうに目を伏せた。
花さんは、笑っていた顔を、真剣な、有無を言わさぬ表情へと変えた。
途端に、冷める空気。
あまりの緊張感にゴキュリ、と唾で喉を湿らす。
｢では、契約についてをお話ししましょうか。｣
クルクルと華麗にペン(万年筆)回しを決める花さん。
恐怖か、怪我のせいか。
足が、膝がカクカクと震えた。
(──さぁ、どんな処分になる？)
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ネリエル@リリス(プロフ) - その友達さん» その友、ありがとう(*^^*)他の作品の更新も頑張って、完結させるよ！ (2015年8月18日 12時) (
レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
その友達 - ネリエル@リリスさん» 遅れたけど完結おめでとう！！最後のほうとってもこわかったよ...。そして、おもしろっかた！！他の作品の更新、がんばってね！ (2015年8月17日 20時) (レス) id: 9d4239f958 (このIDを非表示/違反報告)
ネリエル@リリス(プロフ) - 紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん» ありがとうございます、もうそんな風に言っていただけて嬉しくて泣きそうです(涙)私の方こそ、紅侍さんのような素敵な読者様に読んでいただいて本当に良かったです！ (2015年8月15日 21時) (レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
紅侍@先輩がイケメンすぎて辛い(プロフ) - ネリエル@リリスさん» 別に、作者さんの好きなところで終わればいいと思いますよ?本当に、最後までとても面白かったし。この作品の読書になれて、嬉しいです！ (2015年8月15日 17時) (レス) id: d64dcfdbce (このIDを非表示/違反報告)
ネリエル@リリス(プロフ) - 紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん» コメントありがとうございます。紅侍@先輩がイケメンすぎて辛いさん、あまりお話が続かなくてすみませんでした(._.)ネタがきれてしまいまして……でも、無事に完結できて良かったです。摩訶不思議なお店屋さんを読んで頂き本当に感謝しています！ (2015年8月15日 16時) (レス) id: fe439ec553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリエル＠リリス x他1人 | 作成日時：2015年6月3日 17時
