【あんスタ】レンゲソウをあなたへ【鳴上】

ジュリエット ページ9

「う…お腹痛い…」



失敗を繰り返したけれど、何とか迎えた公演当日。


ここ最近失敗ばかりで自信がないこともあり、珍しく緊張している。


今まで何度も主役を演じてきたのに、自信がない。


木田先輩にお願いして、一人にしてもらった。


胸の中のわだかまりを一息で吐き出し、顔を上げる。


今回は、ナル子ちゃんが知り合いを連れて見に来てくれるらしい。


失敗はできない。


そう思えば思うほど足が震えて、立つこともままならなくなっていく。


ここにいちゃダメだ。


木田先輩が使うようにと言ってくれた空き教室を飛び出す。


目指すのは



「ナル子ちゃん！」



私を支えてくれるあなたのところ。


ちょうど受付の列に並ぼうとしていたナル子ちゃんが、弾かれるように振り向く。



「Aちゃんじゃなァい！どうかしたの？」



ナル子ちゃんが、列を抜けて私の元に来る。


そんな彼に、抱きついた。



「Aちゃんっ？本当にどうしちゃったのよォ」



よしよし、と頭を撫でられて、震えていた足が普段の調子を取り戻していく。



「ん…ちょっとの間このままでいさせて」



一瞬目を見張って、そしてナル子ちゃんは私をギュッと抱き締めてくれた。

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