【あんスタ】レンゲソウをあなたへ【鳴上】

家 ページ5

私の家は、学校からそう離れていないマンションの一室。


実家から遠く離れた夢ノ咲に通いたいという私の意思を尊重してくれた両親が、ここに住むように言ってくれた。


玄関の扉を開けて靴を脱ぎ、廊下を進んでリビングに入る。


背負っていたリュックを置いて中身を整理すると、一枚の紙が姿を覗かせた。


開いてみると、それは昨日配られた演劇科新聞だった。



『名作・ロミオとジュリエットの主演は、演劇科二大エース！』



そんな見出しの下には、公演の時期などと一緒に、一部生徒のみに伝えられていた配役が大きく書かれている。



『ロミオ：島崎 優雅


ジュリエット：七瀬 A


脚本：木田 正樹


その他キャストにも乞うご期待！』



島崎優雅くんは、三年女子に人気な、私とよく恋人を演じる男の子。


実力主義の演劇科で、何度も主演を務めてきた三年を抑えてロミオを勝ち取った。



木田先輩は、学校が正式に脚本を依頼した作文・脚本の天才。


終盤のどんでん返しが好評で、彼の後釜はまだ決まっていないらしい。



そんな二人と私の三人で演劇科を支えていると言われている。





演劇科新聞を折りたたんで、私は料理を始めた。

鳴上嵐→←帰宅と追想

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す