いのち散るまで…nisn ページ17
※7thDパロ
この世界では、竜と人間が領土を求めて戦う運命にあると聞いた。彼らは自分たちの生きる環境を特定の花を咲かせることによって整え、俺ら人間に害をなす。
フロワロという花が俺らの住んでいる都市にも咲き始めた。この花が咲いたという事は着々と竜の領域が拡大しているという証拠。
「兄さん、また…咲いてる。」
「そうだな…ま、お前はこの施設に居ればええ。出て行っても体が弱いんだからすぐに肺をやられるで。」
ベッドから起き上がってテレビを見るA。昨日倒れたらしく、医務室に一晩停まっていた。
番組に移されたあの花の研究会の発表では、種族の進化を促すだとか弱い種を淘汰するだとか言っていたが俺にはそんな事どうでもよかった。崩壊していく世界の中でAとひっそり死ねたらそれで満足だったんだ。
それなのに、どういう風の吹き回しなのか竜退治に協力しろだなんて。それがこいつを救う唯一の方法だなんて。おかげでAと居れる時間は減り、Aも新しい環境で生活を強いられ体調を崩しがちになった。
俺は傷が疼く腕をさすり、隠すように椅子に座る。
「ここでの暮らしはどうや？慣れたか？」
「うん。みんな優しいから大丈夫。でも、最近喘息が酷くなったかも。」
もともと白かった肌は血色が悪く病的になり、笑う事すら辛そうだ。ずきりと胸が痛んで、Aを抱きしめる。回ってくる腕は以前よりも確実に細く、心もとない。
「…兄さん、なんだか大きくなったね？」
「アホ。お前がやせたんや。もっとちゃんと食え。」
「最近食べても吐いちゃうことが多いからさ、ちょっと難しいかも。」
俺らに残された時間はきっと少ない。こいつは今以上に花が咲いた環境になればすぐに死んでしまうだろう。
「愛してる。」
「え？！いきなりだねえ…私も兄さんのこと愛してるよ。」
視界の端に忌々しい赤い花が映り込む。リモコンでそれを消してAにそっと口づけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羅威那(プロフ) - 兎餅さん» ただいまリクエスト消化滞っておりまして…いつ書き上げることができるか分かりませんがそれでもよろしければ… (2022年4月28日 23時) (
レス) id: c967219d95 (このIDを非表示/違反報告)
兎餅 - sinpさんが、ヤンデレ化して夢主を閉じ込める系のって、書けますか……？ (2022年4月24日 7時) (レス) id: 1c6f84240e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ありがとうございます！お待ちしてます！ (2020年3月14日 3時) (レス) id: 525527bd5b (このIDを非表示/違反報告)
羅威那(プロフ) - ひかるさん» ひかるさんリクエストありがとうございます。最近思うようにかけず、更新が滞っておりますがそれでも良ければお待ちいただきたく思います。 (2020年3月13日 22時) (レス) id: ac81da58c3 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - knさんが嫉妬してる感じのお話読みたいです…！！ (2020年3月9日 21時) (レス) id: 525527bd5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
