memento mori

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「うぅーー寒いなぁ。女子高生そんな足出して大丈夫なん？？理解できへんねんけど」


「まあ、慣れですよ、こんなの……」


「そお？それで毎日登校してたら慣れる？」


「たまーにタイツとか履きますけど」


「そうしぃ。見てるだけで寒いから」


「あの、カイロ……」


「マフラーしてるやん」


「いや、中に帰れば良くないですか？」


「帰って欲しいの？」


「そうじゃないですけど……」


透くん悲しいよお、とふざけてヘラヘラしながら私の腕によりかかってくる。ちょっと！女子高生には刺激が強すぎるって！！と心の中で暴れながら、重いです、と素っ気なく返す。



「あーーまだ雪降ってるなあ。」


「そうですね、大量ですね」



かき氷食べたくなってきた、とありえない発言をする堂前さん。それか、Aちゃんのブラックコーヒー、といたずらに笑う姿に、さっきからキュンキュンから止まりません 真剣に助けて



え、てか私今汗臭くないかな？なんか途端に恥ずかしくなってしたんだけど



ちょっと気持ち離れると、え、なに、と俊敏に反応する堂前さん


いや、私今ちょっと臭いかもしれないので、とバカ真面目に答えると、なにそれえ！と楽しそうに笑ってるカイロを自分の顔に当てる。


まるで好きな子をいじる小学生男児みたいに、ぴょこぴょこ周りを飛び回る。寒くないの、といちばん若い私が思う。



「全く変な匂いせえへんけどなあ」


「部活終わりで急いでバイト来たんで、多分臭いです。制汗剤の匂いとか、汗ふきシートで体拭けてないし」


「なんの部活？」


「バスケ」


「意外と体育会系やった……」



まあ、ヘルプとしてですけど、としんしんと降り積る雪を眺めた。

へえ、Aちゃんがダンクシュートとかしたらかっこいいやろうなあ〜とさっきから調子に乗りそうなことばっかり言ってくるこの人



｢制汗剤のいい匂いしかせえへん」


｢えーほんまですか〜？」



冬にあの爽快な匂いはアウェーですよ、と苦笑いで言うと、そっかそっか、とケラケラ堂前さんは笑う。


はあ、雪。サンキュー吹雪。



「あーだから背え高いんかな」


「そうなんですかね」


「なんぼ？」


「173です」


「うわ、あぶな、もうちょっとやん」


「堂前さんなんぼでしたっけ」


「俺は確か178」


「5センチしか差ないですやん」


嫌や、とマフラーにうずくまると、身長高い女の人かっこいいと思うで、と堂前さんは私の頭をポンポンと撫でた。

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