プロローグ ページ1
｢皆！準備はいい？｣
山咲千夏が掛けた声と共に、皆それぞれビールやらワインやらを手に持って準備をしている。
｢みんなＯＫみたいね。さぁ、始めましょ！｣
藍川結衣がそういうと、一人の男が立ち上がった。
千夏と同級生の、板見隼人だ。
｢おっしゃ！んじゃみんな乾杯ー！｣
『乾杯ーっ！』
キンキン、とグラスの当たる音が響き渡る。
今日は藍川とのお別れ会をしに集まっているのだ。
もうじき卒業を迎える藍川に、感謝の気持ちを伝えるべく開いているのだ。
☆
楽しい時間も束の間、時計はもう既に11時を回っていた。
｢では最後に、藍川先輩から一言いただきたいと思います！｣
そう言われると、藍川は渋々マイクの元へと歩いていった。
｢私のためにこんな素敵な会を開いてくださり、ありがとうございます。私はもう卒業しますが、皆さんにはこの学校を、より良い学校にして欲しいです。今日は、本当にありがとうございました｣
その言葉を最後に、皆は解散した。
駅でそれぞれの線に乗り、自宅までついた山咲は、ふと今までのことを思い返していた。
☆
それからどれくらいが経っただろうか。
いつの間にか千夏は、眠ってしまっていたようだ。
そして目を覚ましたここは…
明らかに自宅ではない。
周りは黒く啜れたコンクリートの壁。
蛍光灯が光り、鉄の扉とその鍵を解くためであろうボタンが一つついているだけの、至って地味な部屋だった。
そこには山咲一人ではなく、駅で別れたはずの藍川、板見、矢野もいた。
状況が把握できず、あちこちを見渡すがコンクリートでできた十畳ほどの部屋に、ボタンや扉の他のモノがあるわけが無い。
｢どういうこと…？｣
板見はひどく怯えた様子で、山咲に目で訴えるが、千夏もよくわかっていないので、板見を見つめながら首を横に振った。
仕方ないというように藍川が立ち上がった。
｢皆、何か手がかりになること覚えてない？｣
幸い記憶だけはあった全員は、特に心当たりはないようだ。
夜、自宅のベッドや布団でそれぞれ就寝するところまで覚えている。
それ以降は皆わからなかった。
｢誰か携帯持ってる？｣
ポケットを探ると、皆分のがそれぞれ入っていた。
だが、電源は落とされている。
｢どうすんだよ！｣
携帯を投げつけたその先にはボタンがあり、そのボタンに携帯が当たると、カチっと音がした。
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ゆーる(プロフ) - 西木野 にこさん» ありがとうございます!!コメントの返し方がわからずやっとのことで返信できました(/Д`;これからも読んでくださると嬉しいです(^^♪ (2015年6月22日 17時) (
レス) id: 39d7a499b3 (このIDを非表示/違反報告)
西木野 にこ - プリ画で見ました！この小説面白いですね。これからも読むので最新楽しみにしています。がんばってください。 (2015年5月8日 22時) (レス) id: ecb3bd9349 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーる | 作成日時：2015年5月6日 20時
