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「Aさん、凪が床にスポドリ溢した。予備のタオル無い?」
『何やってんの凪』


水道を束子で擦っていたら仕事の追加を言い渡された。振り返って見れば、手入れの行き届いた赤髪を靡かせる選手、千切豹馬がいた。今はトレーニングの時間だろうから、恐らく現場はトレーニングルームなんだろう。

こめかみに青筋が浮かんでるであろう私を見て、千切が苦笑を溢す。眉を下げて「ごめん」と謝る千切に、罪悪感と同時に凪への怒りが湧く。千切は何ひとつとして悪くないんだよ。私が求めてるのは凪からの謝罪の言葉だから。


『なんでなの。あの水筒はそう簡単に溢れるやつじゃないでしょ』
「寝っ転がったまま飲んでたからな」
『めんどくさがりにも程がある…』


容易に想像がつく、無気力に寝っ転がって水分補給を試みようとする凪。びしょ濡れになった顔を玲王が慌てて拭くところまでワンセットなんだろうな。特大の溜息を二度吐いて、手にしていた束子を置いた。


『何枚くらい必要な感じ?』
「Aさん呼んで来るっつって直ぐに出て来たからな…よく分かんないけど、結構ぶち撒けてた」
『凪用の服も持って行った方が良さそうだね』
「俺も運ぶの手伝うわ」


廊下に出て用具室を目指して重い足を運ぶ。手伝ってくれるらしく、千切も一緒に来てくれた。

よくよく考えてみたら、千切ってトレーニング真っ最中にここまで来たのか。クールダウンとか多分してないよな。そう思い当たって千切を振り返れば、髪は汗で濡れてるし、頰は少し火照っていた。……汗が冷えたら風邪引きそうだな。


『千切、これ着ときな。体温めておいた方が良い』
「……あのなAさん。そんなに簡単に自分の物を貸さない方が、」
『安心して、さっき洗濯したばっかりだから』
「いや、そこが嫌なわけじゃねぇんだけど…」


上着を脱いで千切に手渡す。難しい顔をして遠慮する千切を『いいからいいから』と押し切って無理矢理持たせた。そんな私に負けた千切は「ありがとう」と不服そうに言って最終的に羽織った。

用具室に入ってタオルを集める。結局のところ何枚くらいあれば良いんだろう。足りないよりは余った方がマシか。腕にタオルを掛けていると、髪に触れられた感触がして肩が跳ね上がった。見れば、長い指で私の髪を掬う千切が楽しそうに笑っていた。


「ふは、そんなに驚くかよ」
『何してんの千切…』

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テディ - ひまさん» 最高の小説なんて嬉しすぎるお言葉…大感謝です、ありがとうございます。単純なので褒められるとやる気爆上がりします!更新頑張ります〜!! (2023年3月6日 19時) (レス) @page9 id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ひま - 小説見あさってたら最高の小説を見つけてしまった…めっちゃ続き楽しみです!更新頑張ってください! (2023年3月5日 21時) (レス) @page9 id: 34d7bd651a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テディ | 作成日時:2023年2月23日 15時

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