【本編】迷い犬の鬼殺奇譚・改【リレー小説】

.城の崎にて【志賀直哉/鈴凛】 ページ46

「もう近い。誰が先導する？」

そう振り向くが、誰も声を上げる事は無い。
･･･そうだ、此処にいるのは戦闘向きではない異能力者ばかりで、存在をあまり知られたくない異能力者ばかりでもある。
仮に敵対することになったとしても、テロ行為にあまり関わりの無い人間が一番最適だろう。

「･･････仕方ないな、俺が先導する」

耳を澄ませながら近づく。
物音？ 近くに異能反応は無い、動物か？ いや、それにしては足音のテンポが違う。人か？
それにしてもさっきの異能反応よりやけに近い。別の人間か。
息を潜める様に手で合図をして、物音のした方へ進む。
少々して見えた人影を警戒しながら、様子を確認する。

｢あ〜、神様、都合の良いときだけ信じるのは、人間だからご愛嬌ということで！すみません、お願いします、私と誰かを赤い糸で結んで下さい！えーっ……と、誰かと私を引き合わせて下さ〜い！｣

そう叫び声が聞こえて、面くらって他の奴らと顔を見合わせた。
危機感が無いのか、アイツは。

「猟犬の方ですね、声を掛けましょうか」

そう言って集まる視線。まさかと思い自分を指さすと、当たり前だろう。と言った表情で皆頷く。

ゆっくりと忍び寄って、警戒しながら肩を叩く。

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