.城の崎にて【志賀直哉/鈴凛】 ページ36
「何が面白い?」
笑い声がした方を振り向けば、少し口元を押さえたドストエフスキーが、いえ。と目を細め微笑む。
「『神様の目』らしくもない。矢張り、正義の味方という訳ですか。」
脈絡もない言葉に眉間に皺を寄せる。それを見たノアがいっそ不気味なほど、いつも通りの笑みを浮かべ、口を開いた。
「志賀さんの意見には理由がないでしょう。能無しでないのなら、ちょっと考えれば、分かる事では?」
そう小首を傾げる姿は如何にも飄々としているが、目元は全く笑っていない。そこまで、自分以外が神と呼ばれることが気に喰わないか。
「だが、猟犬はお互い警察組織である異能特務課と、手を組む可能性の方が高いだろう。」
「異能特務課に探偵社と懇意にしている人がいますのに?」
ゴーゴリの隣で、そう言い、心底不思議そうに目を丸くして首を傾げるゴーゴリ妹の様子は、演技のようには全く見えない。
は・・・・・・?
いや、聞いたこともない話だ。であれば。
噛み締めた奥歯から嫌な音が聞こえた。ちらりと、ドストエフスキーに目を向ければ、愉快そうに顔を歪めた。
考えなくても分かる。情報が流されていない。天人五衰との線引きか、若しくは裏切る可能性が高いと捉えられたか。
比較的素直に従っているように見せていたつもりだが、足りなかったのか。
痛む頭を他所に、話は進んでいく。
「では、猟犬を探すという事でいいですね?」
ドストエフスキーの問いかけに対して、肯定する声が、右から左に流れる。
「志賀さん。よろしいですね。」
「・・・・・・ああ。」
肯定を返した声は、消え入る寸前だった。
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魑魅 零(プロフ) - 更新しました (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - 更新します (3月8日 13時) (レス) id: 9560c26e60 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新しました! (12月23日 9時) (レス) id: 97d9ce38f9 (このIDを非表示/違反報告)
白井直(プロフ) - 更新します! (12月23日 8時) (レス) id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@スランプ中(プロフ) - 更新しました・・・! (12月22日 15時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い犬の鬼殺奇譚参加者一同 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/BNGUKMT/
作成日時:2023年10月24日 17時