【本編】迷い犬の鬼殺奇譚・改【リレー小説】 (ページ23)

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.城の崎にて【志賀直哉/鈴凛】ページ23

「いきなり引っ張るな！！」

文句の一つでも言ってやろうと、振り向けば、そこにいたのはゴーゴリではなく、宗教服を着た奴。

「見つかったのか。」
「ああ、だから知らせようとしたんだが･･････」

シグマは困ったように眉を下げ、ゴーゴリの方を見る。又自由が云々と聞かされる。とゴーゴリから顔を背け、ドストエフスキーの方を見た。

「狼煙で合図するといったなら守ってくれ、お陰で背筋が凍った。」
「志賀さん、まさかあれを信じていたのですか？」

は？と顔を歪める俺に、喉の奥で笑うようにして、

「狼煙は他の方にも、気付かれる。そんな莫迦な事する訳無いでしょう。」

と、心底意外だと言いたげに、顔に笑みを浮かべる。
苦々しい顔をした俺を、ゴーゴリと、ドストエフスキーは笑う。
他三人といえば、理解できないといったように顔を歪めるシグマと、何を考えているのか微笑むゴーゴリ妹、そして興味なさげに半分上の空で聞いているノア。

本当に頭が痛くなる。ここに五人も人間がいるのに、まだ理解できるのはシグマだけ。他の奴らはネジが、二桁単位で外れている。

「では、全員集まったことですし、情報交換でも致しましょうか。」

そう言って、そこらにあった切り株にドストエフスキーが腰を掛けるのを合図にして、その近くへ、適当に地面に腰を下ろす。

「取り敢えず、此処は大正時代のようです。他にも飛ばされた人は居るようで、探偵社、ポートマフィア、組合、異能特務課、猟犬。確認できるだけでも、二十から三十は飛ばされているかと。それから、此処には鬼がいるそうです。」
「鬼？」
「ええ。」

表情も変えることなく、そう淡々という。鬼は御伽噺にのみ存在するものだと思っていたが。

「何処からの情報だ。」
「少々異能特務課の方々の会話を、聞かせていただきまして。」

四十八句ゴーゴリの能力だ。空間をつなぐことで、あちらの会話を傍受したのか。