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Hiromitsu !! ページ5

病室に駆け込んでまず、ゼロの息を確認した。
__生きている。
そんな当たり前のことを、当たり前だと思っていたことを今知るなんて。
死んだように眠るゼロのベッドに突っ伏す。
…早く、起きてくれよ。


「………」
ゼロが起きない。目を開けない。
ノックばれの後、黒田さんに会わせてもらって以来自分から会っていなかった。
それは決して寂しくなかったからでも、そんな暇が無かったからでもない。
油断していたのだ。こいつなら大丈夫だと。
いつだって会おうと思えば会える、今のゼロは忙しそうだから迷惑だろう、丈夫で賢いゼロが死ぬなんてあり得ない、__生きてるなんて当たり前だろ?
でも、そうじゃなかった。

『生きててくれて、ありがとう』

あいつは、ゼロは全部理解(わか)った上でそう言ったのだ。
俺達公安の捜査官は命の保証が無い。理解していた、つもりだった。でもそれは結局『つもり』で終わっていたのだ。
俺は自分が死ぬ勇気は持っている。
俺の命と俺の周りの人達の命で比べたら、迷わず俺以外を選ぶだろう。
それこそ、ノックばれ以前に赤井がFBIであることを見破っていなければ、俺は今ここにいない。情報を守るために自決をした。
__でも、その道を周りの人達が、ゼロが選んで死んだら?
きっと堪えられないだろう。泣いて泣いて泣きまくって、死にたくなるくらい暗い気持ちになって、それでも死ねないのだろう。
…俺は自分の死より親い人の死が怖い。
両親が殺された時はまだ幼くて、泣き方もわからなかった。ただ呆然と、兄さんが泣くのを我慢して歯を食い縛るのを見ていた。いつもいた人間が明日からはいないなんて現実味が無くて、もう会えないだなんてことだけをぼんやり理解した。感情が追いつかなかった。
でも今は違う。
今は泣き方もわかるし、死のことや命に限りがあることぐらい知っている。

__『死』が身近に。

__『死』がゼロの側に。

怖い。怖い。恐怖で震えが止まらない。
ちょっと倒れただけのゼロが死ぬと決まった訳じゃないのに、怖くてたまらないんだ。
「ゼロ、ゼロ…」
昔みたいに俺の頭、撫でてくれよ。
警察学校の時はこっちが嫌って言うほど撫でてくれただろ。
あれな、俺結構好きだったんだ。
だから今撫でてくれ。

「頼むから、起きて」




そうしてゼロが起きないまま2日過ぎた。

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きょうのらっきーめいげん

どうでもいいけど鬼滅の刃って面白いよね。継国兄弟の巌勝お兄ちゃんを推してます。鬼なのに人間らしいのがすごいすき。そういう意味では獪岳きゅんもすごいいい。


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アイスある - めっちゃ面白いです!もっと早くこの作品に出会いたかった!更新待ってます。もっと評価されてほしい!! (2021年3月30日 19時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
Nir(プロフ) - 妹系長女さん» いつも応援ありがとうございます!最近は別作品を更新するのが楽しくなっちゃって…でもこの作品はいつかきちんと完結させるつもりですので、しばらくお付き合いください! (2020年2月20日 0時) (レス) id: 6e48c57581 (このIDを非表示/違反報告)
妹系長女 - 久し振りに更新されてるか確認したら更新されてて心の中で躍り狂った (2020年2月5日 21時) (レス) id: 2d0849d162 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nir | 作成日時:2019年12月6日 0時

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