【閲覧注意←】パンドラダイアリー。【妄想オリジナル】

「全然笑えねぇんだよ。」 ページ24

ふと男口調だった自分が懐かしくなって、再び「俺」と小さく呟いた。
自然と笑みが浮かんでくる。

「この口調を止められたのも、クリスだったよなぁ？女の子っぽくないからって。頑張って変えたのになぁ」

また元通りだよ、と笑みを浮かべた。
なんでだろう。言葉遣いなんかに背中を押されちゃった気がする。
こっちの方が私らしいかな？俺らしいかな？
でも、ネットとかでまた叩かれちゃうかな？

今まで馬鹿みたいにうじうじしていたのが吹っ切れたような気持ちになった。
自然に浮かべられる笑みに、なんとなく心が落ち着いた。
皆も、驚いた表情でこっちを見てくる。

「なぁ、俺からの最期のお願いだよ。二度と確証もないのに誰かを責めないでくれ。」

な、と口先に人差し指を宛てた。
たとえ、この先トラウマで二度と誰かを責められないなんてことになってしまおうが、これだけは確かめてほしい。
こんな復讐方法を思いつく私でも、信じてもらえないこんな苦しさを他の誰かに味わってほしくないという優しさは残っているんだから。

「…なぁ、そろそろお前らにも疑心が生まれてきたころだろ？「本当にアイリーンとクリスは相思相愛の仲だったのか」「本当にAが二人の仲を切り裂いたのか」って…」

物憂げに見回しながら尋ねれば、皆が顔を見合わせながら気まずそうに俯く。
当の本人たちは、怒りか恐怖かで顔を真っ青にして震えていた。

「こんなに言わなきゃ理解できないなんて、お前らの頭って本当に哀れだな。俺、すでに何度も言っただろ？私はやってない。すべてアイリーンの嘘だって…」

呆れたように溜息をついて、思わず顔を横に振った。
そこまでこいつらに考える頭がないなんて驚きだ。
中には校長賞という、成績平均90点を上回れば貰える賞を連続で貰ってるやつもいるのに。
何故こういう時には頭は働かないのかなぁ？

「それにお前らは一向に耳を傾けず、ただずっと泣いてるアイリーンを信じて俺を悪者扱いしてさ。ずっとおめでたい頭だなーとは思ってたよ。」

論より証拠、と私には思いっきりついてきたのに、アイリーンの供述は証拠より論。というかむしろ演技。
あのくっさい演技に騙されるのはせいぜい尻に敷かれてる男くらいだと思ったけどね。

「なんだっけ。俺のことなんて呼んでたっけお前ら。泥棒？あ、違うか泥棒猫だっけ？」

それはそろそろ死語だろ、とついつい笑ってしまう。
あぁ本当馬鹿だなぁって思う。馬鹿すぎてもう、

「全然笑えねぇんだよ。」

「俺は最初っから一人ぼっちだ。」→←「俺もともとこの口調だったろ？」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す