【閲覧注意←】パンドラダイアリー。【妄想オリジナル】

「それらも全部、嘘だった？」 ページ22

深く深く深呼吸した。
耳が痛くなるほどの沈黙に、私は場に似合わない笑みを浮かべた。

「…さて、私は何を言おうとしているか、わかるかな？」

打って変わって優しい、むしろ何も感じさせないトーンに安堵したような息が漏れる。
周りは同様に顔を見合わせながら、知るかと乱暴に吐き捨てる。

「あっは、私もわかんない。」

後頭部に手をやり、申し訳なさそうな顔をすれば場は一気に明るくなる。
先ほどの怖いくらいの沈黙も動揺の声にかき消されてた。

「ま、ゆーなら…そこの女は泣いただけで学校全部味方に回したのに、何故手首まで切って助けを求めた私を助けてくれた人は一人もいないのってことかな？」

その言葉に、再び動揺が走り沈黙が響いた。
まるで金属を金属で叩いて響かせた音のように、ただ静寂の音は響きまわった。

「今じゃ後悔ばっかだよ。あれ以来、ずっと隠さなきゃいけないんだから。前に一度見られたこともあったけど、「何それ…？」って汚物を見られるような目で見たんだから。ネットでよくリスカが格好いいって勘違いしてるやついるけどさ、正直あぁいう奴等って本気でやってないよね。だって私ならさ、リスカしてることを正当化する度胸も、見せびらかす度胸もないもん。恥ずかしくて、醜いことなんだからさ。」

自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
一度私も、ネットで手首切ったと暴露してみたけど、馬鹿にされて終わった。
それが現実。「大丈夫？」なんて言っている人はどうせ実はほくそ笑んでるんだから。

「…まぁ本題に戻るけど、つまりはクリスから私の告白してきたのに、どうして私が二人の仲を引き裂いたことになるの？」
「お前がクリスに告白させたんだろ！？」
「証拠もないのによく働くね猿の頭は。」

あははー、と私は乾いた笑いを漏らす。
そして目を閉じて、記憶を探った。

「付き合って1か月目は、絵を描くのが好きな私のためにノート、2か月目は記念日を記したくまさんのキーホルダー、3か月目は犬の形のネックレス、4か月目は指輪。5か月目は言葉だけで祝ってくれて、6か月目はまた指輪。7か月目は言葉だけ、8か月目も言葉だけ。9か月目はまたノートをくれて、10か月目は言葉だけ、11か月も言葉だけで、1年記念日は誕生日祝いもかねて、人形にケーキに高いとこでお昼も奢ってくれたよね。」

すらすらと言い出せば、クリスは耳から顔まで真っ赤にさせて俯いた。
あーぁ、まるで公開処刑だこれじゃ。

「それらも全部、嘘だった？」

「俺もともとこの口調だったろ？」→←辛い、辛い、苦しい思いが溢れる。

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