【閲覧注意←】パンドラダイアリー。【妄想オリジナル】

辛い、辛い、苦しい思いが溢れる。 ページ21

嘘は、真実を隠すアクセサリー。
嘘があるから真実は美しく、また真実が美しいからこそ嘘も美しく見える。
だが真実をともにしない嘘はただ醜く、汚いだけである。

さて、と彼女は問うた。
この嘘はどの嘘だろうか。


「始まりは修学旅行だったよね？飛行機の中で私が話しかけてきてさ、一目惚れしちゃったんだもんね」

私が馴れ初め話を始めると、クリスは耳を赤くして顔を俯かせる。
その様子にも、思わずくすくすと笑いがこみ上げてしまった。

「それから、私のFacebookとかSkypeとか、いちいち話しかけてくるようになったんだよね？私が精神的に追い詰められて、苦しかったときも…君だけが頼りだった。」

私が話しかけているのに、一向に顔を上げない。こちらを見ない。
ただ、握りしめている拳が震えていることから、ちゃんと聞いていることだけは視認できた。

「苦しかったとき、私はみぃんなに助けを求めたんだよ？学校の中で、手首だって切って、いっぱい血ぃ出て、保健室行きにだってなったのに。」

先生にはちゃんと、カッターで遊んでたら切っちゃいましたって笑ったけどね。
あの痕は、残念ながら深すぎて今でもくっきり。
そう思いながら、私は左手首をなぞった。

「私がさぁ、どんな思いで手首切ったと思ってるの？なぁに、リスカが格好いいとか私が思ってるとでも？あははっ」

いったん息を吐く。
予想はしていたけど、どんどん話がそれちゃった。
でもいっそのこと、ずれてるならこのままずらしちゃえ。

「そんなわけないでしょっ！！？？」

突然の悲鳴に近い私の声に、そこにいた全員が飛び上がる。
顔に血が集まって、今は顔がとっても赤いんじゃないかなぁ。
怒った時私いつも顔赤くなっちゃうから。

「リスカが格好いい？格好いいわけないでしょ？むしろ醜い。汚い。気持ち悪い。気味が悪い！馬鹿じゃないの親からもらった大切な体傷つけちゃってさ、血ぃ怖いくせに痛いの怖いくせにざくざくざくざくざくざくざくっ！！構ってちゃんが手首切ってもね、周りから汚くみられるだけなんだよ？なんだよこいつ馬鹿か。構ってちゃん超うぜーとか思われちゃってさっ？「格好いい」だとか「辛そう」だとか構ってくれる人なんて、ごく少数だよねっ？だってそうでしょ、私がそうだもん！お陰様で最初の数日はさぁ、隠すの精一杯だったんだよ！？ねぇ、そこまでの犠牲を払ってまで私が得たものってなんだっけ！？」

はぁはぁ、と肩で息をする。
辛い、辛い、苦しい思いが溢れる。

「それらも全部、嘘だった？」→←ざまぁみろ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す