ケチャップポテトもおいしかったです。 ページ16
籠の中に山盛り積まれている、正直三人分の昼食にはなるだろうという量を二人で塩をかけたりケチャップをかけたりでもりもり食べていると、頭上から心配そうな溜息が降ってきた。
振り返ると、心配そうに眉根を寄せたマスターがそこに立っていた。
どうかしたか、なんて聞く必要もない気がするけど一応。
「どうしたのマスター?」
「…」
マスターは暫く黙った後、もう一度深くため息をついた。
その姿もなんとなく格好いい。
っていうかマスターは筋肉とかがちょうどよくついてて、なんかもうおじさん!みたいなイメージがある。
とりあえず格好いい。
「…本当にやるのか?」
「うん。」
分かり切っていた問いに、私はものの数秒で答えて見せた。
まったくの戸惑いを映さない私の瞳や表情を見て、マスターはさらに深いため息をついた。
不安だと思ってくれてるのはわかるけど、溜息つきすぎだよ。
「んな溜息つくと幸せ逃げるぞ」
「いやいや、幸せが逃げたから溜息つくんだよ確か。」
「…お前らなんでそんな余裕なんだ…」
悲痛そうなマスターの声に、私たちは顔を見合わせた。
逆に問うけど、なんでマスターはそんなに心配してるんだろう。
まさか私の心配をしてるわけじゃないでしょ?昨日の今日の仲だよ。
「っていうか第一もし失敗したらなんて考えてないし」
「絶対に成功させるっていう考えしか頭にねぇな。」
ねー、と顔を見合わせてうなずき合った。
それを見たマスターは諦めたのか、もう一度溜息をついてから私の頭をなでてくれた。
あ、やばい気持ちいい。
私は人との触れ合いの中で、頭撫でられるのが一番好きだ。
猫とでも言ってくれて構わない。本当に好きなんだ。
なんか触れられるとくすぐったいようなあったかいような不思議な感覚が広がっていく。
そこを撫でられると、とても幸せな気分になるのだ。
「…何、お前撫でられるの好きなのか。」
「…好きだけど、なんで?」
「いや、なんかすごい気持ちよさそうな顔してたから。魚食う?」
「牛乳は好きだけど魚は大っ嫌いだね。そして私は猫じゃない。」
きっぱりと言って私はポテトを食べに戻るが、あることに気付き私は手を止めた。
ほくそ笑む目の前に座っている男の顔。
その男の手にあるケチャップ。
そして真っ赤な液体に包まれている黄色かったはずのポテト。
「マスター!自腹で払うからもいっこポテト頂戴!!」
「…龍志、お前あんまいじめんなよ。」
………ケチャップポテトもおいしかったです。
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時