「………何が?」 ページ11
もうやることはないと、私はゆったりと学校を歩き回った。
これで最後なんだから、せめてゆっくり見て回りたいじゃん?
まるで慈しむように、地面を優しく踏み込んで。
そんな私を呼び止める声がした。
甲高い、気味の悪いほど造られたようなその声が私の名前を呼ぶ。
高揚感はすべてかき消され、私は半ば不機嫌に振り返った。
やはりその子がそこに立っている。
他には誰にもいないことを見ると、どうやって一人で来れたんだろうと不思議に思う。
取り巻きが騒がなかったのかな?
「…どういうつもり?」
「………何が?」
わざととぼけたような声を出せば、零れ落ちそうなほど大きい睨まれた。
おーおー、怖い。
何が憎たらしいかっていうと、この子顔立ちと姿形だけは整っている。
少しぽっちゃりしているけれど、それはもう許容範囲だろう。
まぁ性格が範囲外なので、問答無用でアウトだけど。
「…バラすつもり?い、いいわよ。言っとくけど、今更あんたの言うことなんて…」
「ちょっと待てって。誰がバラすつもりだって言ったよ。」
勝手に言葉遣いが荒くなるけど、それは明らかに嫌悪を表している、と思う。
もともとガサツな姉を見て育ったせいで、少し前までは一人称が「俺」な立派な男女だったもんなぁ。
「…じゃあなんで皆を呼ぶ必要があるのよっ!」
「……言葉理解できないのアンタ?」
冷たい風が私の頬を撫ぜた。
髪が好き勝手に暴れ、私の顔をくすぐる。
それを気にすることなく、私の十八番の無表情で淡々と告げた。
「謝罪するので聞きたい人は来てくださいって言ったじゃないか。これほど明々白々な説明はないくらいだよ?」
まだ後ろで騒ぎだす気配がしたけど、そろそろ待ち合わせの時間だ。
私は踵をかえし、もう用はないというように背を向けた。
案の定後ろで叫ぶ声がしたけど、今更耳を傾ける暇すらない。
彼らは1時20分に迎えに来るといっていた。
そろそろその時間だし、何よりそろそろ着替えをしないと間に合わない。
時間を無駄にしたくないほど、私は楽しみにしてんだ。
私の学校は、早退や遅刻には厳しい方で…下校時間前に門をくぐって外に出るには、親からの早退の理由と許可証が必要だ。
うちの両親が理由もなく早退を許すわけないので、こっそり出るしかない。
その代り、部外者の入出は緩いのが私の学校の不快な点。
名前と連絡番号、パスポート番号くらいを埋めれば完成。
だから私たちはそれを利用することにした。
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - にゃん舞姫さん» 申し訳ございません!今更コメントに気付いてしまい本当申し訳ない限りです。にゃん舞姫様には本当にいい読者様に恵まれたといつも感激しております。本当にありがとうございます。どうか、これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございます! (2014年7月1日 0時) (レス) id: ce568da1b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - パンドラダイアリー・一冊目おめでとうございます!!とっても、面白かったです><勿論二冊目も読ませていただきます。楽しい時間をありがとうございました!! (2014年4月29日 15時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
うにゃ@FUNASSIIIIIIIIIIII(プロフ) - にゃん舞姫さん» 母さんはおいしいと言って普通に食べてましたがね。まるで別世界に行ったような地獄な感覚でした。 (2014年4月7日 10時) (レス) id: 84b680cc3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 蛙ってwwそれもし食べてたら・・・(p・Д・;)アセアセ、お母さん凄すぎます!! (2014年4月6日 0時) (レス) id: 201acc661a (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - にゃん舞姫さん» いつも読んでくれてありがとうございます!作者も偏食です。この前はお母さんに騙されて蛙食わされそうになりましたYO!そういわれると本当に頑張れます、感謝! (2014年4月5日 18時) (レス) id: 5f12e20803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゃ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年11月29日 22時