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愛されたかったんだと思う。 ページ2

多分、愛されたかったんだと思う。
愛されればそれでよかったんだと思う。

別に愛されなかったわけじゃない。
ただ、いつでも自分のためだけにそばにいてくれる人が欲しかっただけ。

だから甘えん坊になるし、褒められるとうれしい。構ってくれるとうれしい。
でも無視されると傷つくし、いつも他人の表情を伺ってばっかり。

だから余計に神経質にもなるし、ストレスもたまる。
ストレスに押しつぶされて、負けたことだって何度もある。
そのたび増える痕に、後悔したことないなんて嘘は言えないけど。


それでも、諦めたと口にしながら、愛を求めた。
人間不信になって、信じられる友達もいなくて、表面上ばかりで、
それでも、信じていたかった。過ごす日々は楽しかった。

あの人のことも、愛していた。




私の親は、別段私を嫌っていたり、放置していたり、虐待なんて、そんなのは物語の中の話。
普通の両親で、本当に普通に愛してくれた。

でも何を間違えたのか、私の姉は自由奔放で我儘三昧。
すごく怒りっぽくて、そのくせ頭の回転は速いから困り者。
金遣いは荒いし、人のこと文句ばっかり言うくせに自分は直さないし、他人の悪いところばかりにしか目がいかない。

そんな姉を宥めるためにも、両親はたくさんのものを買ってあげた。
姉が欲しいといえば、大抵のものはあげた。
おそらく両親も、そんな姉が少し怖かったのかもしれない。どうやって対処すればいいのかわからなかったのかもしれない。

その代り私は、愛を貰った。
数えきれないほどの愛を。
子供のころから甘えん坊だった私は、いつも両親を抱きしめていたし、手を繋いだり、キスすることもしばしば。いまだに同じベッドで寝るほど母とも仲が良い。
ただ、やっぱり反抗期になると母とも喧嘩するし、その時は気まずいけど。

それを見た姉は、私が羨ましいという。
両親はいつも私ばかりをかわいがっていて、一度も姉には愛をあげたことがないという。

でもそれは筋違い。
子供のころから、母が泣くのを見て、父が怒るのを見て、姉が叫ぶのを見て。
最近までずっとすべてがおさがりだったのも、何も文句はなかった。
それが当たり前とさえ思っていた。
必要なもの以外は、服さえ一つ残さず姉のもの。
それでも文句はない。

だから、誕生日のたびに「何が欲しい？」と聞かれると何も出てこない。
欲がない。

姉は、形に残る愛をあんなにたくさん貰ったのに。
私の愛は、いずれ記憶から消えゆく形ないものなのに。

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