噂の古本屋【ヒプマイ】

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「……！」



不意に、ポケットの中のスマホが震えた。



……なんか嫌な予感する、気のせいだと良いけど。



画面を見ると知らない番号から。



店内で電話は流石にまずいので外に出る。



……最近、電話番号を教えた人は？



……うん。



渋々ながら、画面に指を滑らせて電話を受ける。



「……はい、どなたですか？」



「この前、スーツを届けて頂いた伊弉冉一二三です」



あ、神宮寺さんじゃない。



「今度、直接会ってお話がしたいのでお時間を頂けますか？」



「は、はい」



ちょ、直接会って？



やっぱり何かあったんだろうか。



……何かあったんだろうな。



「えっと、じゃあ明後日ですね？」



「はい、お願いします」



電話を切った後、ポケットの中にスマホを入れる。



何を話すのだろう。不安しかない。



明後日に39度くらいの高熱が出てくれたら良いのに……



はっきり言って……行きたくない。



何か悪い事した？



思い当たる事はないけど、何もしていない事を祈る。



「ふぅー…………はぁ……」



朝から我慢していたため息が口から漏れ出す。



空を仰ぐと、今日は雲ひとつない快晴。



……なに晴れてんだよ。



私は何故か空に八つ当たりをしながら店内に入った。

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