噂の古本屋【ヒプマイ】

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マンションの入口で立ち尽くす。



すぐ目の前には愛しき我が家。早く帰りたいです。



「……」



「……」



素通りすれば良かったのに、目が合ってしまった。



「……いや……何も、無いですから！」



「どうか俺に慈悲を垂れてくれ！」



いつかのホームレスさんと感動の再会。



早く帰りたいです。



「頼む！」



……ここで彼を放って家に帰れたらどんなに良かっただろうか。



「これうめぇな！」



「はぁ……」



ガツガツと凄い勢いでご飯を食べる有栖川さん。



これでもあのシブヤ代表なんだとか。



「お前の家なんか寂しいな。もっと家具とか置かねぇのかよ？」



「家の無い貴方に言われたくなかったです」



ちなみに全く同じ事を店長にも言われました。



ち、散らかっているよりかはマシだと思う。



「……何で有栖川さんはシブヤ代表なのにホームレスなんですか？」



「昨日麻雀やってたら運が悪くてな」



彼の職業はギャンブラーか。



ほとんど無職と変わらない気もする。



「いやー、危うく小指が無くなる所だったぜ！」



「よく今まで生きて来られましたね……」



小指って。結構危ない所でやってるんだな。



「ついでに風呂も借りたら駄目か？」



「えぇ、そろそろ帰って下さいよ」



「俺帰るとこねぇし」



結局最後は飴村さんを呼んで回収して貰った。

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