噂の古本屋【ヒプマイ】

P.２１ ページ22

「ついって何ですか？」



「……」



「……？」



「いえ、なんでもありません」



……なんださっきの間。なにかありそうだな。



「なんですか、教えて下さいよ」



「じゃあ……」



やっと教えてくれるか、黙って言葉の続きを待つ。



「もし小生が貴女に、やきもちを焼いていたらどうします？」



……やきもち。



その一、焼き餅。



その二、ジェラシー



は、果たしてこれはどっちの意味だ！



文脈的には二の方の嫉妬が正しいけど


いやでもこれで勘違いしたら死ぬほど恥ずかしいし。



これは直接聞いた方が早い。



「えーと……お餅の方ですか？


それとも、その、ジェラシーとかの方ですか？」



「……さぁ？」



夢野さんは変に誤魔化して言葉を濁している。



あっ、そうか！そうだな！？



これは嘘だ。夢野さんのお得意の嘘。



うん、これで全て合点がつく。



多分この後に『嘘ですよ』のネタばらしがある筈。



あぁ焦った。



本の代金を貰い、その言葉を待つ。



本を渡して、またまた待つ。



「小生はこれで」



「ぇ」



夢野さんはそのまま店を出て行った。



「んん……？」



あれ……ネタばらし忘れてますよ……

P.２２→←P.２０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す