噂の古本屋【ヒプマイ】

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朝の一通りの仕事を済ませ、カウンターの椅子に座りこむ。



「あふぅ……」



くっ……眠い。



欠伸を噛み殺して目をこする。



お客さんもまだ来ないし暇だ。



仕方ない、カフェインを摂取しよう。



珈琲のブラックを飲んだ。



「は、ふぅ……」



しかし欠伸は止まらない。



ブラック苦かったのに。瞼が重くなって来た。



お客さんはまだ来て無いけど、店番の途中で居眠りなんて……



店長に……怒られ……



そこで、つい魔が差した。



でも多分お客さん来ないし大丈夫じゃない？



大丈夫か！



……睡魔に勝てなかった私は店の中で堂々と寝た。



_________



「……ーい、起きてってば！」



「あ……はい…………」



誰か、いる？



「あ、やっと起きた」



“誰か、いる？”どころか、目の前にいた。



目って言うか、もう眼球の前にいた。



顔面のすぐ前に人が。人の顔が。



「はっ、うわっ、ギャッ！」



驚きすぎて椅子ごとひっくり返った。



そして後頭部を床に思いっきり打ち付ける。



視界が一瞬真っ暗になった。



「大丈夫？オネーサン」



「だ……大丈夫です」



椅子を起こしながら答える。



頭が痛むけど、それより恥ずかしくて死にそうだ。



「すみません、わざわざ起こして貰って」



「ん、僕は大丈夫！」



やっぱり寝るんじゃなかった……お客さん来たじゃん。



「オネーサンの可愛い寝顔見れたから」



「ぶっ！」



椅子がゆらっと後ろに傾いだ。



慌てて机を掴む。



「そ、そういうのは止めてくださいって」



「あはは！オネーサン分かり易ーい」



本当に寝るんじゃなかった。

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