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「へへへぇ!これでうらさんも喜んでくれるよなぁ!」
『つかれた……』
にこにこと笑って歩く赤毛の男。それとは対照的にため息をはいて呆れる私。
何があったって?
あの赤いやつ、坂田が色んなお店に試食したりあちこち回ったりしたから追いかけるのに必死だったんだよ。
私はまだましだが、そらるは特に見るも無惨な姿になってる。あいつ本当に神なの?
まあ一応お目当てのものは変えたので、よいとしよう。
「さすが赤鬼……うぇっぷ、気持ち悪い……」
『えっ、坂田って赤鬼だったの?』
「そやで!筋骨粒々〜!ではないけど、こう見えて体力には自信ある!!」
むきっ!と筋肉がまとわりついている豪快なうで……ではなく、ひょろひょろとした真っ白な細腕をまげ、自分の力を見せつけている。
確かに筋骨粒々じゃないな。
それに体力はある。あそこまで店を回ったんだから。
『____そういえば、そのウラサンって誰?』
「ええと、俺の相棒……みたいな?なんかはずいな、まあ相棒のたぬきやで」
えへへ、と赤い頬を指でかきながら、照れ臭そうに笑う。
待て、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。
『たぬき!?』
え!?ペットじゃないの!?相棒なの!?
赤鬼って動物としゃべれるのかな……。
「うん、たぬきで、人間にもなれて喋れる、不思議な動物やで」
『喋れる!?!?』
なんなんだこの世界は!!神や赤鬼だけでなく喋れるたぬきまでいるのか!!
驚きすぎてなんも言葉が出ないよ!!
「………………」
あれ、なんか空が曇ってきた気がする。
気のせいかな。気のせいだな?うん。
「……クンクン、この匂い!!ハッ!!大福や!!ちょっといってくるわ!!」
『えっ!ちょっ!』
「……はっ!坂田!?お前ぇ!」
ピュウウウウウウーンと、風のような速さで飛び去っていった坂田。
あとから気づいたであろうそらると一緒に、その背中を追いかけた。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年9月26日 13時) (レス) @page42 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
しろむ(プロフ) - 2ヶ月ほど占ツクを離れていたら、完結していてビックリです!うぐいすあんさんの作品大好きです。今回も素晴らしい小説ありがとうございます (2020年1月31日 21時) (レス) id: 3eaa2e0c73 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - すばるさん» 私もすばるさん好きです〜!そらるさんの可愛さを最大限引き出せましたかね!?こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» いつもありがとうございます!優勝できましたイエーイ()今回はほんわか系を書いていたのでどうしても過去編がシリアスになってしまいました……。はい!楽しみにしていてくださいね!ご満足できるような作品を作れるよう頑張ります! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - らfkー(らふきー)さん» ありがとうございまrrrrrrrrrrrrrrrrrrす!過去編はかなぁり凝っているので、泣いていただくほどのお話ができてとても光栄です! (2019年12月19日 13時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餡 | 作成日時:2019年11月10日 22時