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『あんたねぇ……』
ふざけてるのか。
叫びだしそうになるのをグッとこらえても、相川のに憎たらしい笑顔は変わらない。口先もだ。
「じゃあ、Aはなんて言って欲しかったの?」
『……っ』
「僕も何て言えばわからない。お互い様だよ。だから責められる権利はお互いにないと思うんだけど」
ぷつん、と何かが切れる音がした。
気づけば相川の胸ぐらを掴みあげて、精一杯睨み付けていた。
『ムカつく!ムカつきすぎるんだよあんた!!』
叫び散らした。
我慢の限界だったんだ。
「……どうして?どうしてムカつくの?僕は何も悪いこといってないけど」
『あんたの心が読めないんだよ!!相川、あんたが今まで告げてたのが全部嘘みたいに聞こえんの!』
「嘘?僕が?」
『ヘラヘラ笑って!!嬉しいの!?悲しいの!?怒ってんの!?』
こいつにいちいちムカつく理由は、こいつの考え、心が読めないから。
いっつも無表情やヘラヘラ笑ってて、怒ろうとも悲しもうともしない。
私が人生初の告白を受けたとき、こいつははたから見れば恐怖にも等しい笑顔だった。
私がこいつの家にいったとき、こいつは頬を赤らめて、まるでときめいてるような笑顔だった。
表情と言葉が一致してない。
だから、嘘ついているようにしか見えない。
「おかしいなあ、僕、嘘つきは嫌いなんだけど」
『……本音を言いなさいよ!本音を!
言ってたとしても今のあんたの言葉は信じられない!それこそ偽善と綺麗事と同じじゃない!』
あのとき。
相川が悪役を好きだといったとき。
何処か寂しげな笑顔だった。あの時はわかったんだ。
悪役が好きって言うのがどう思われるのか心配なんじゃないか。不安に思ってるんじゃないか。その思いが伝わったから、私はきちんと答えた。大丈夫だよって。
『あんたの気持ち、叫んでも泣いてでも誰かにぶつけてみなさいよ!!』
頬に涙が伝う。
相川の胸ぐらを掴む力を弱めて、彼から離れた。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年3月14日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - リート@暫く浮上しません。さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません……!!ありがとうございます!そういっていただけてとても嬉しく思います!はい!だらだらします!()コメントありがとうございます! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
リート@暫く浮上しません。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から最後まで二回も見るくらい、面白い作品でした。羨ましい。ゆっくり休んで疲れを癒してくださいね。改めまして、完結おめでとうございます。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 5e7567a452 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» こちらこそいつもみていただきありがとうございます!!このお話、結構ストーリー凝っていたのでそういっていただけると頑張った甲斐があります!はい!是非楽しみにしていてくださいね!頑張ります! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 絆さん» こちらこそいつもありがとうございます!!あ、その心配はありませんよ!私、めちゃめちゃずぼらですので!!( ・`д・´)ご心配していただけて誠に嬉しく思います!ありがとうございます!!!! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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