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「変な話でしょう?こんなの、」
自嘲的な言葉を発しているのにも関わらず、彼はクスクスと微笑む。
どうしてそこで笑えるんだよ。
でも、知らなかった。
相川の好きなものなんて。
悪役がどうして好きか、本人もよく理解してなさそうだが。それでも彼のことをひとつ知れた。
_____あれ、何でこんなに嬉しいんだろ。
『へ、変な話じゃないからっ!』
自分の好きなものを否定しないでほしい
ざっ、と勢いよく立ち上がる。
そして彼の方に向き直ると、相川の目は見開いて、呆けた顔へとなっていた。
『私、高校生にになってもお母さんのハンバーグ大好きだし、しょ、少女漫画とか……!に、憧れちゃったりしてるし……』
私何いってるの!?!?
恥ずかしいと頬を染めて躊躇いながらも言葉にしていく自分に驚く。
相川にこんなこといって弱味とか握られるよ絶対!!ヤバイわ!!
前言撤回できないし……ええい!もう開き直れ!!
『自分の好きなものを否定なんてしないで!!あんたが悪役を好きなら、悪役を肯定しなさいよ!』
叫び捨てるかのように告げた言葉は、意図も簡単に消えていく。
はあ、はあ、とこの瞬間に神経すべて使った気がする。
「______好き」
『はっ?』
彼の顔はよく見えなかった。
だけど、その言葉は聞こえた。
「やっぱり、Aが好き」
『なっ!……』
蕩けた笑顔を見せてくる彼に、頬に熱が集う。
こっちが真剣に話していたと言うのに、なんなんだお前は。
「大丈夫。Aのことは否定しないよ。むしろ好きすぎて肯定もできないや」
『なんなんお前っ!!……』
「怒った顔もかわいいよ」
『う、うるさい!!!もうあんたに私のお弁当あげないからっ!!』
どうしてこんなに素直になれないんだろう。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2021年3月14日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - リート@暫く浮上しません。さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません……!!ありがとうございます!そういっていただけてとても嬉しく思います!はい!だらだらします!()コメントありがとうございます! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
リート@暫く浮上しません。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から最後まで二回も見るくらい、面白い作品でした。羨ましい。ゆっくり休んで疲れを癒してくださいね。改めまして、完結おめでとうございます。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 5e7567a452 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 雨月冷さん» こちらこそいつもみていただきありがとうございます!!このお話、結構ストーリー凝っていたのでそういっていただけると頑張った甲斐があります!はい!是非楽しみにしていてくださいね!頑張ります! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶯餡(プロフ) - 絆さん» こちらこそいつもありがとうございます!!あ、その心配はありませんよ!私、めちゃめちゃずぼらですので!!( ・`д・´)ご心配していただけて誠に嬉しく思います!ありがとうございます!!!! (2019年10月3日 23時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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