君の心が読めない【まふまふ】

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「へえ、相川って甘いもの苦手なんだ」

『うん、だけど食べてたよ』




私の指ごと。




現在放課後で、私は棗と喫茶店でお茶をしている。
そして、今日のお昼、相川にバームクーヘンをあげた件について話していた。

指をくわえたとは流石に言えない。恥ずかしい。




「でも、きちんと食べてる辺りAのこと狙ってるかもよ〜？」

『何てお母さんのバームクーヘン食べるくらいで私のこと狙うのよ』




いや、告白してきましたよ。
狙ってなかったら告白しないと思います。
そう言いたいのをグッと堪えて苦笑いを浮かべる。
棗には隠し事なんてしたくないが、初告白があんな異常者って言うのが気にくわないのだ。




『そ、そういう棗はどうなの！』

「え？わし？」

『好きな人の一人や二人できてるんじゃないの！？』




このまま相川の話をするのが少し嫌で、棗の方に話を回す。
好きな人の一人ぐらいできてるんではないか。少し前から単純に思っていたことだった。





「え、えぇ〜、好きな人って言われても……」



棗の頬が赤く染まるのを私は見逃さなかった。



『いるの！？好きな人！？』

「い、いやあ、気になる人、って感じなんだけど……」

『ええええええ！？だれだれ！？』




私は更に食いついた。
だって、親友の気になる人だよ？？？こっちも気になるじゃねぇか！
すると、棗はぬっと背中を曲げ私の顔に近づいてくる。
口元に手を添えて、こっそりと名前を告げた。





「……３年生の、一ノ瀬彼方先輩」









『誰？』

「おいっ！！」






一ノ瀬彼方先輩って誰だよ。

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