【完結】あのね、ずっと好きでした。【KY】

32話 ページ32

花火大会が終わった次の日。
下校した私が向かう先は1つ。

｢あはは。来ると思った｣

フジさんの所。泣きつきにきたんだ。
聞きたい事が山のようにある。 落ち着いて…落ち着いて聞くんだ。
すうっと息を吸う。

｢もとかにょって！！な、何にゃんです…か｣

盛大にかんでしまった。
噛んだことに焦ってまた噛んでしまった。
フジさんは、ブフゥwwwと破裂音を出すと私に背を向けた。
そんな笑わなくてもおおおお。
フジさんを睨むと、ごめんごめんと謝ってくれた。
今度はおちついて。ふう…。

｢あの人なんなんですか…元カノって｣
｢中学の受験前に付き合ってたよ｣
｢キヨ兄ちゃん、ずっと好きな子がいるって言ってたんですけど…それってその人ですよね｣

フジさんは驚いた様に目を見開いた。
やっぱりそうなんだ…。

｢それは俺には分からないけど。Aちゃんは…好き？｣

キヨ、兄ちゃん。
と胸に問いかけてみる。
聞く前から分かってたけどやっぱり。

｢好きですずっと。気持ちは変わらないです｣

フジさんはうんうんと頷くと、少し腰を屈め小声で耳元に話しかけてきた。

｢俺からはあまり言えないけど、キヨの事好きで居てやって。きっと思いは届くから｣

きっと思いは届く、かぁ。

｢フジさんに励まされるだけで頑張れますよ｣

フジさんは、そうかよかったと笑うと目を細めた。



ｰｰｰｰｰ




今日のご飯もキヨ兄ちゃんと一緒だ。
もぐもぐと口を動かしているキヨ兄ちゃんは可愛い。
なんて思っていると、キヨ兄ちゃんは箸を置き話がありますと呟いた。

｢実は彼女ができて｣

しん、と静まり返るリビング。
お父さんもお母さんも息を飲んでキヨ兄ちゃんの言葉を待っている。

｢中学の時付き合ってた彼女なんですけど、最近また知り会って｣

遥さんだ。

｢付き合う事になりました｣

覚悟してたけど、まって。こんなに早く？

｢まあ…おめでとう！！｣
｢キヨ君に彼女か！今日はお祝いだな！｣

胸が切りつけられたように痛いや。

｢A？どうした？｣

私がすべき事は。

｢ううん。キヨ兄ちゃんやっと彼女出来たんだね！リア充じゃん！｣

今、上手に笑えたかな。

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