23話 ページ23
私はそっとキヨ兄ちゃんの部屋をでた。
ドアを閉める時も、キヨ兄ちゃんはぴくりとも動かず寝ていた。
今は朝の7時半。
キヨ兄ちゃんは早起きが苦手だから、キヨ兄ちゃんに会わず家に帰れる。
「お邪魔しましたぁ…」
と、玄関の鍵をかけポストの中に入れておく。
ちゃんと置き手紙に家に戻る事も、鍵の事も、軽く作った朝ごはんの事も、お世話になった事も書いてきたし大丈夫だろう。
今はキヨ兄ちゃんの事を自分の中で整理したい。私がどうしたいのか。どうなりたいのか。
トイレで必死に考えた結果だ。
もし困ったらフジさんにアドバイスを貰おうと思ってる。
でも、フジさんに頼りっぱなしもだめだよね。自分でも考えないと。
なんて考えていると自分の家に着いてしまった。
今日は休日。ゆっくり考えよう。
「A〜」
はっ。寝てた。
お母さんの声に目を覚まし、時計をみる。
あの後帰るとお母さんが起きていてびっくりされたが、何も言わずに自室に入った。
あんまり寝れてないからかベッドに入ると直ぐに寝てしまったようだ。
「ふぁあ〜…なにお母さん」
「キヨ君きてるわよ」
んっ?
キヨ君きてるわよ?
「部屋に通していい?」
「!?ダメ!!」
慌ててドアの向こうに声をかけたが、ドアは開かれた。
開かれたドアにはびっくりした顔のキヨ兄ちゃんと笑顔のお母さん。
きっとあの顔は、うふふもうキヨ君通しちゃったもんね〜!って顔だ。
お母さんはキヨ兄ちゃんを私の部屋に押し込むと、ドアを閉めた。
私とキヨ兄ちゃんの間には沈黙。
どことなく気まずい。
キヨ兄ちゃんもそんな空気を感じてるのか、私から目線を逸らした。
「飯、くった」
美味かった。とキヨ兄ちゃんがいった。
「あ、よ、よかった」
って、あれ?ご飯食べたならキヨ兄ちゃん手紙読んでるはずだよね?
じゃあなんでここにいるんだろ。
キヨ兄ちゃんはちらっと視線を向けると、目線を下げた。
「昨日はごめん、態度悪くて」
「え?あ…大丈夫だよ。気にしてない」
キヨ兄ちゃんの事だ。冷たい態度取ってしまった事を謝りに来たんだなぁ。昔からそうだった。
キヨ兄ちゃんは冷たい態度を取ってしまっても、それは本心じゃなくていつもあとから謝ってくれる。
「そっ、か。よかった」
キヨ兄ちゃんはホッとしたのか、いつもの笑顔を見せてくれた。
あ、私。
やっぱり諦めきれない。
キヨ兄ちゃんに好きな人がいても、私はキヨ兄ちゃんが好きだ。大好きだ。
だって、こんなに心臓がうるさいから。
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*:まりな:*(プロフ) - 夢吏ちゃんさん» レスありがとうございます!通知溜まりすぎで…完結した時すぐに見れなくてごめんなさい!お気に入り作者にも登録しました!…結構前だけど…。これからも頑張ってください!1ファンとして応援してます! (2020年5月26日 16時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - *:まりな:*さん» ありがとうございます…!!えへへそんなに褒めて貰えて嬉しいです!ありがとうございます!次作でもお会いできたら嬉しいです! (2020年5月25日 17時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
*:まりな:*(プロフ) - わああああ!完結おめでとうございます!はぁもう…泣きました。(これほんと)タメ口やばいと思いましたか?私は思いました。知らねぇよ。いやー、なんかもう…満足です!作者さん!愛してる!ぶちゅ (2020年5月21日 23時) (レス) id: ce0c123210 (このIDを非表示/違反報告)
夢吏ちゃん(プロフ) - 甘党。さん» 初めましてコメントありがとうございます!ずっと見て頂いてたんですね…!甘党。様が見て下さっていた1hitが凄く励まされました…!次の小説も近々公開しますので…!自作でも応援のほどよろしくお願い致します! (2020年1月12日 4時) (レス) id: 83cad32c9a (このIDを非表示/違反報告)
甘党。(プロフ) - 完結おめでとうございます…!今までコメントはしなかったんですけどずっと見てました!次の小説も全裸待機させていただきますね^ ^ (2020年1月5日 10時) (レス) id: 93d0b6d41e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢吏ちゃん | 作成日時:2019年5月6日 10時