【完結】あのね、ずっと好きでした。【KY】

24話 ページ24

｢あっ｣

っと足が止まった。
私の視線は学校の掲示板に貼られたポスターに釘付け。

｢そっか…もうそんな時期かぁ早いなぁ｣

1人でうんうんと頷き、ポスターを見やる。
ポスターにはデカデカとした字で花火大会と出ている。
懐かしい。昔キヨ兄ちゃんと行ってたなぁ。
花火大会の横にちっちゃいお店がいくつも並んでで、りんご飴とかたこ焼きとか買ってたな。
行きたいなぁ…。
思い浮かぶのはキヨ兄ちゃん。
…好きな人を誘うよね。
友達を誘おうにも、華の高校生。彼氏と行きたいって言うだろう。
私には関係ないイベントだ。
と、後ろ髪を引かれつつポスターに背中を向けた。





｢あ、そろそろ花火大会じゃない！Aとキヨ君一緒に行くんでしょ？｣

キヨ兄ちゃんと私は同じタイミングで味噌汁を吹き出し、咳き込んだ。
なんか前にもこんなことあったような…。
私はお母さんを睨むと胸をとんとんと叩く。

｢いかないよ。キヨ兄ちゃん行きたい人いるだろうし｣
｢は？いねぇよ｣
｢え？｣

え、好きな人は？誘わないの？
私はキヨ兄ちゃんを困惑の目で見つめると、キヨ兄ちゃんも同じ顔して私を見ていた。

｢え、だって…この前言ってた人誘わないのかなって｣
｢俺はお前といきたいけど｣

うわ！！なんて口説き文句！！
必死でニヤけないように胸をたたいて顔を逸らす。

｢あらあらあらあら！じゃあ浴衣用意しなくちゃね｣
｢キヨ君、俺の浴衣貸すから当日来てきなさい！｣

お父さんもお母さんも何故か張り切って私たちに詰め寄る。
ほんとに…キヨ兄ちゃんと花火大会にいっていいの？
キヨ兄ちゃんをみると詰め寄ってくるお父さんを宥めている所だった。その顔は何を考えてるのか分からない。
でも、キヨ兄ちゃんと花火大会かぁ。
楽しみ…。
なんて来る日も来る日も待っていたら、花火大会前日の夜。

キヨ兄ちゃんじゃあ花火大会の近くの橋で7時に待ち合わせな
Aはーい!キヨ兄ちゃんの浴衣楽しみ!

｢うふ、うふふふ…｣

私はスマホと一緒にベッドにダイブした。
部屋には私1人。ここならいくらでもニヤけていいのだ。
キヨ兄ちゃんの浴衣姿…背が高いから似合うだろうなぁ。
なんて妄想してたら時計の針は12に近くなっていた。
いけないいけない！明日は学校もあるから早く寝ないと。
慌ててベッドに潜り込んで目を閉じる。
でも頭の中に浴衣姿のキヨ兄ちゃんが浮かんでニヤけて寝付けなかった…。

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