【完結】あのね、ずっと好きでした。【KY】

25話 ページ25

そわそわと足を動かす。
さっきから全く動かない時計を見ては笑顔になったり、悲しそうにため息を吐いたり私は忙しい。
私が時計に百面相する理由は1つ。
学校が終わったらキヨ兄ちゃんと花火大会デート。
早く学校が終わらないかなと時計を見上げる。
まだ2時間目の授業が始まって17分と36秒しかなってない。あ、38秒になった。
先生は黒板に夢中だから、私には興味無いみたい。
はあ…退屈だ。
なんて思っていると。

｢じゃあ一週間後までに54ページから58ページまで、これにまとめて作ってきてください｣

先生は私達の前に数十枚の紙をみせる。
宿題！！これで時間潰そう！
紙を前の席の子からもらい、また後ろに数枚の紙を渡す。
うんうん…これは時間かかりそう。
私は早速宿題に取り掛かった。
あとは時間が勝手にすぎてくれるだろう。



結局1時間程で終わってしまい、その後の数学の宿題英語の宿題全部終わらせてしまった。
でも時間は潰れてくれたようで、今は帰りのHRだ。
早く終われ早く終われ…。
と思ってると、先生が私たちを立たせた。
そのまま起立、礼。
よし！帰れる！！
カバンをもって急いで下駄箱へ向かう。
帰ったら軽くシャワー入って、メイクしてお母さんに着付けしてもらって…。
あとは…キヨ兄ちゃんと…。
頭の中ではキヨ兄ちゃんの顔が近づいて熱いキスをしている所だ。
頭の中ぐらい好きに妄想させてほしい。
私は頭に浮かぶキヨ兄ちゃんにニヤニヤしつつ、足を急がせた。




｢ここの帯を締めて…っはい終わり！｣
｢わぁ…ありがとうお母さん！｣

くるりと後ろ姿を立ち鏡で確認する。
髪も結って貰ったので、首筋がみえて心做しかいつもよりも色っぽく見える。
見慣れない自分にドキドキしてると、鏡越しにお母さんと目が合う。

｢綺麗よA｣
｢えへへ…お母さんの浴衣のお陰だよ｣

この着物、実はお母さんのお下がり。
なのに時代遅れしてない綺麗なデザイン。
私が動く度、赤と青の布はヒラヒラと靡いている。

｢あらもうこんな時間！そろそろキヨ君来る時間よ！バック持って！｣

慌てたお母さんにバックを握らされると背中を押される。そのまま玄関へと向かい着物とセットの靴に足を滑らせる。
同時に、玄関のインターホンがひとつ鳴った。
ドキドキと心臓が暴れ始めて息が苦しい。
ゆっくり玄関の鍵をあけ、ドアを開く。

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