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それは、突然だった。
「お嬢様、逃げてください！！」
部屋に駆け込み、慌てて言う私の専属メイド。
「賊が屋敷に…逃げてくださいお嬢様！」
「は、はぁ！？」
「もうすぐそこまで来ています！早く！」
「チッ…賊風情が私の幸せの邪魔をするなんて…」
「え、今舌打ち…」
「何でもないわ、早く逃げなくちゃいけませんね」
危ね、この子の前では猫被ってるんだった。
「ん、でも…逃げるったって、何処に行けばいいのかしら？私このお屋敷から出たことがないのですが…」
「そ、それは…」
その時、いきなりメイドが血を吐いて倒れた。
目を見開き、固まる私。
その後ろに立っていたのは知らない男。
「……………だ、誰でしょうか…」
「お前がA=アストロフィだな」
「質問に答えろや盗賊」
「え」
「あ、いけない。つい本音が……」
ちょっと苛立つとすぐに猫被りけれなくなるんだよな、私。
盗賊固まってるし。
まぁ、私の幸せ壊したんだし、きっとこれから殺されそうだからいっか。
「はぁ、よくも私の幸せ壊してくれたな」
「幸せ？お前はこの家の一人娘なんだろ？こんな窮屈な屋敷が幸せなのか、お前」
「幸せの感じ方なんて人それぞれだろ？私は本に出てくるような冒険好きのお姫様じゃないんでね」
静まり返る部屋。
と、急に笑い出す盗賊。
「フフッ聞いてた性格と全く違うな……失礼、俺はクロロ。幻影旅団って聞いたことあるか？あれの団長だ」
「あるー…めっちゃ聞いたことあるー…」
幻影旅団てあれやん、A級の賞金首やん。
何てもんに目をつけられてんだよお父様……。
「んで、A級賞金首さんが何のようで？」
「屋敷の宝を盗みにきた」
「いやまぁ、そりゃそうだろうよ。じゃなくて、こんな屋敷の隅っこにある私の部屋まで何のよう？あいにく、ここにはそんなに高いものないけど」
「だから盗みに来たんだって」
「何を？」
「お前を」
「んーちょっと話が噛み合ってないねー。言っとくけど私に価値なんてないから。普通の女の子だから」
「普通の女の子は賞金首の盗賊と普通に話したりしない」
私、ヤバイのに目をつけられたらしい。
続く
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作成日時：2018年9月26日 23時
