親友9人 ページ11
「国木田くぅーん、ご苦労様ぁ。」
「何がご苦労様だ！苦労は凡てお前の所為だ！この自 殺嗜癖が！！お前はどれだけ俺の計画を乱せば……
太宰「そうだ、彼は私の同僚でね。二人共、お礼と云っては何だが、彼に奢って貰おうじゃないか。」
何か食べたいものがあったら遠慮せずに云い給え。と、叱りつけているクニキダさん？を無視して、話を進める目の前の男。
お礼が貰えると言うのは嬉しいけど、これはいいんだろうか……と首を傾げた。
何と云うか、失礼だけど目の前の男が真面目な人には見えないし……。
挙げ句の果てには、人の財布で僕達に奢るなんて言っているんだから、怪しいと云えば怪しい人だ。
「嗚呼、君達名前は？」
まだ聞いていなかったね、と少し笑った。
「中島……敦です。」
『…海藤A、です…。』
僕が名前を云うと、それまで黙っていたAも、後に続くように口を開いた。
…相変わらず警戒しているのか、ムッとした表情のままだけど。
まあ、仕方ないか、と内心苦笑しながらも割り切ることにした。
これは自分でもどうしようも無いため、それが一番だろうと考えたからだ。
第一印象が悪いのも事実だしね。
「では、着いてきたまえ。敦くんにAちゃん。」
何か食べたい物は決まったかな？と問われて言葉に詰まる。
チラリとAの方に目を向けるが、小さく首を横に振られてしまった。
特にないから任せる、と云う意味だろう。
「えーと…じゃあ、茶漬けを。」
悩んだ末に、そう答える。
Aには「やっぱりね…」と云う目で笑われてしまったが、仕方ないだろ。好きなんだから。
「よし、分かった。国木田くんに三十杯くらい奢らせよう。」
「おい！俺の金で勝手に太っ腹になるな！太宰！！」
国木田さんが吠えるけど、再びそれをスルーした。
…この人、都合の悪いことは無視する体質か何か何だろうか…。
「ん？……太宰？太宰って…？」
「嗚呼…私の名前、だよ。」
ふわりと吹いた風に髪がたなびいて。
黒い瞳に見つめられる。
隣にいたAの、視線が揺らぐのが分かった。
「太宰。太宰治だ。」
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作者名：あげねこ丸 | 作成日時：2019年6月16日 17時
