▽ ページ20
侑李side
裕「 こっちは脳震盪と打撲、そっちは？ 」
どんな場面であろうと、どんな私情があろうと
医者として、看護師として
緊急時での対応は
嫌というほど身に着けさせられる。
侑「 脈は……不整、瞳孔は…許容範囲、」
医者になって数十年。
心がこれだけ乱れていても
頭がこれほど混乱していても
勝手に記憶してある知識と
体に染み付いた経験という名の土台によって
侑「 うん、発作じゃないし意識もある…
先にそっち運んで!! 」
裕「 りょうかいっ 」
圭「 処置室も準備できてるよ 」
瞬時な判断と対応を
この場に居る全ての人が出来てしまう。
自分でも驚くほどに
取るべき行動がスムーズだった。
侑「 体ちょっと動かすよ? 」
意識が朦朧とする慧の体を持ち上げ
最小の揺れかつすばやくベットへ寝かせる。
絡まった電極を1つずつ付け直し
心電図の電源をリセットすれば
リズムが不規則ながらも
弱々しく心臓が動いているのが分かった。
たぶん急に動いたことでくる血圧の変動と
それによる不整脈、意識障害。
発作ではないことが不幸中の幸いだなと
場違いにホッとした時だった。
山「 いっ……ぅ、 」
苦しげに漏れた声に後ろを振り向けば
左腕から血を流し、顔を歪める涼介。
その横で部屋中に奇声を響かせる彼女の手には
真っ赤な液体を付けたハサミ。
それを見た瞬間、
その鮮明な赤色を視界に捉えた瞬間に
己の知らない黒い感情が
全身を這い回り、僕を支配していく。
呼吸は浅く、速く、体温がカッと上がり
無意識に力強く握り込んだ拳が震えだして
まるで闇の霧に包まれたように。
周りの音なんて聞こえず、見えもせず
そこに正常な我の意識など存在しなかった。
山「 っ……ち、ねん? 」
ただ一点に向かって歩き出した僕に
心配の音色を含んだ声で彼が呼ぶ。
でもその声も
今は聞こえなかった。
いまだに耳障りな声を上げながら
今度は僕に刃を向け威嚇する彼女の方へ
1歩ずつ、ゆっくり、静かに
じりじりと歩み寄る。
振りかざされた刃を避け、彼女の瞳を捉えた瞬間
操られた様に体が勝手に動いていた。
気づけばパシンッという音が響き
目の前には頬を抑え目を見開く女。
隣で同じく目を見開いていた涼介が
僕を見上げ、ふっと笑い声を漏らす。
「 警察ですっ、怪我人は… 」
ふと我に返った時には
ほんのり赤くなった右手が、ジンジンと痛かった。
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新道踏切(プロフ) - 最近見つけて読んだら止まらなくなりました！更新楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年1月3日 16時) (
レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - にゃごさん» コメントありがとうございます!ほんとに嬉しいです!!これからも読んでいただけるよう頑張りますね! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - のぶちゃんさん» お待たせさせてしまいすみませんでした。コメントありがとうございます!!今後もどうかよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - みおさん» お待たせしてしまい申し訳ないです。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - いのひかゆうやさん» 遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りみ | 作成日時：2017年10月15日 13時
