○ ページ11
侑李side
知「 ……ん、終わった? 」
慧「 うん、ごちそうさま 」
箸を置く音にふと顔を上げれば
綺麗に空になったお皿達。
満腹気にベッドに寄りかかるのを見て
呆れるというか、微笑ましいというか。
安心、したのかもしれないな。
何処かでそれを求めてたんだと思う。
日に日に弱っていく彼の姿に
心の内側で焦りみたいのも感じてて。
だからこうやって今日も、無意識にここへ来ては
隣で書類仕事なんかやっちゃうんだから、
慧「 忙しいならわざわざ来なくても… 」
なんて言われるのもしょっちゅうだし。
医局にほぼ居ない僕の近状に
涼介も心配してか、たまにやって来たり。
圭人と裕翔も病室を歩き周ってるから
この前なんて全員集合したぐらい。
気付けば皆の憩いの場になってたんだ、最近は。
知「 …あっ、この前言ってた外出届。
許可下りたけど、何する気？ 」
慧「 あぁ……ちょっと、ね 」
伏し目がちのぎごちない笑顔に
何処か突っ掛かるのを感じたのは
たぶん長年の付き合いからの、僕の勘。
さり気なく鼻を擦るその動きは
何か嘘をつく時にする彼の癖で。
まだ読めない心を見透かすように
左右に泳ぐその瞳を、じっと見つめてみた。
慧「 ……はぁ、知念には無駄か。
どうせバレてるんでしょ？ 」
知「 まぁね、何となくは。
それで、何処に行くつもり? 」
緊急時の処置。感染症のリスク。
心臓への負担。
外に行くだけの事なのに
たったそれだけの事なのに。
多くの問題を抱えて行くのだから
慧にとっては、そう簡単ではない。
まぁ、その分のワクワクはあるんだろうけど。
でも今のその反応からして
そういう事ではないのは、見て取れた。
慧「 お墓参り……行っときたくて、」
数日前から首に掛けられてるそのリングが
今の彼の背中を押したのは確実で。
それに月命日でもない明日に行く理由も
何となく分かってはいた。
だんだんと迫りくるその日が来る前に
まだ間に合う今しかないから。
慧「 ……動けなくなる前に、ね 」
慧も分かってるんだ。
この後自分の身体に何が起こるのか。
どんな日々が待っているのか。
真っ暗闇の道を
たった一人でさ迷い歩くように。
まだ高校生という若さで
残酷とも言えるその事実を
慧なりに今、受け止めていた____
，
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新道踏切(プロフ) - 最近見つけて読んだら止まらなくなりました！更新楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年1月3日 16時) (
レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - にゃごさん» コメントありがとうございます!ほんとに嬉しいです!!これからも読んでいただけるよう頑張りますね! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - のぶちゃんさん» お待たせさせてしまいすみませんでした。コメントありがとうございます!!今後もどうかよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - みおさん» お待たせしてしまい申し訳ないです。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - いのひかゆうやさん» 遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りみ | 作成日時：2017年10月15日 13時
