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侑李side
圭「 寒くない? 」
慧「 ふふっ、大丈夫 」
厚めのコートにもこもこのマフラーを巻いて
寒さから完全防備な慧を前に。
他愛もない話をしながら
ゆっくりと車椅子を押して行く圭人。
出発前は車椅子に駄々をこねてた慧も
今となっては大人しくされるがまま。
念には念をと連れてきた圭人も
少しは成長した……
圭「 あっ……携帯忘れた 」
ことはなかったけど、
慧「 ふっ…どんまぁい 」
目を細めて笑った慧を見て
後ろで圭人と二人して密かに喜んだ。
知「 じゃあ終わったら言って? 」
慧「 うん、分かってる 」
綺麗な仏花を手に歩いて行く背中を見送り
少し離れた場所に腰掛ける。
今からは慧と家族との特別な時間。
部外者が立ち入るような真似はしなくない。
毎回ここを訪れる時は
こうして家族三人の時間を作るのが決まりだった。
圭「 ほい、あったかいでしょ 」
知「 ん、ありがと 」
もうすぐ年越しが近づく12月。
寒さで悴んだ手に
熱めの珈琲の缶がよく染みる。
冬晴れの青空に鳥が鳴き
開放感の満ち溢れるこの場所は
何気に溜まった心のストレスも
すぅーっと浄化してくれて。
圭「 やっぱ、いいとこだぁ 」
知「 おじさんっぽ… 」
寝る暇もない仕事の日々が嘘かのように
穏やかで平和な時間が流れていた。
圭「 慧も大きくなっちゃってね… 」
僕達が初めて会った時はまだ
慧は小学生だったから。
時が過ぎるのは早いって本当なんだ、と。
胸の前で手を合わせ、瞳を閉じる彼の背中は
この数年でぐんと広くなった気がする。
知「 寂しいもんだよ、ほんと 」
自分の近くに居てくれたのが
どんどん遠くに離れて行くようで。
いつかふと、居なくなるんじゃないかって
そう思ってしまう自分がいる。
医者という自分の側には
長い間、居ない方が正しいのだけれど。
これだけの年数を一緒に過せば
やっぱり親的目線で見てしまうから、
慧「 よし、ありがと。帰ろ? 」
少し赤くなった瞳で微笑む彼を
出来る限りずっと支えたいって、そう思っちゃうの。
なのに……それなのに、
「 ………見ぃーつけた 」
すぐそばまで来ていた黒い影が
不気味な笑顔を浮かべてる事に
この時の僕は気付かなかった。
これが後に最悪な事態になろうとは
誰もが分からなかったんだ。
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新道踏切(プロフ) - 最近見つけて読んだら止まらなくなりました!更新楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年1月3日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - にゃごさん» コメントありがとうございます!ほんとに嬉しいです!!これからも読んでいただけるよう頑張りますね! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - のぶちゃんさん» お待たせさせてしまいすみませんでした。コメントありがとうございます!!今後もどうかよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - みおさん» お待たせしてしまい申し訳ないです。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
りみ(プロフ) - いのひかゆうやさん» 遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!!今後もよろしくお願いします!! (2020年3月27日 15時) (レス) id: 5d5b508ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りみ | 作成日時:2017年10月15日 13時